これまでのあらすじ

『我ら、パレット団、ここに参上。』
1章.我ら、パレット団、ここに参上。読者509 評価0 分岐1
2章.…ふと。読者452 評価0 分岐1
3章.「春」を彩る「桃」の花読者322 評価0 分岐1
4章.お誘い読者341 評価0 分岐1
5章.その頃の、どこか。読者347 評価0 分岐1
6章.名前の意味は読者276 評価0 分岐1
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ANTZ
17.07.07
368
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1
少年が目を覚ました時、彼は宿屋の寝床で寝ていた。
何か人が言い争っている声がする。多分その声で目が覚めたのだろう。
「だから私は知らなかったんですよ。奴が熱を出しているって知ってたら店に出さずに寝かせてましたって」「じゃあなんで知らなかったのよう。こんなに顔色悪いのに。」
元気の良い、女の子の声がする。何か、ひどく怒ってるみたい……?
「ちっちゃい子どもをこんなになるまで働かせるなんて、桃色の妖精のあたしが許さないんだから!」「あの、だから」「そのぅ、それは」と旦那がもごもご言う声もする。
スゴイ。
あの旦那をタジタジとさせるなんて。
どんな子か見てみたくてもぞもぞしていると、「あ、…目が覚めるみたい」
と別の声がした。薄く目を開けると、若い男女が顔を覗き込んできた。
「どうだ、調子は」
若者と言っていい男の人が額に手を乗せた。骨ばった大きな手が冷たくて気持ちいい。
「ちょっとくらくらするけど大丈夫です」起き上がろうとすると、マフラーを巻いた女の人がそれを止めた。
「まだ寝てなきゃダメ。…白魔法で回復させたけれど、体力そのものが落ちているから」
「…はい」
言葉に甘えて横になった。
ああ、2人の後ろで旦那が凄い顔して睨みつけてる…。その横にはピンクのリボンが可愛い女の子が。
ああ。さっきの声の子だな。
「あなた、綺麗な瞳をしてる。澄んだ水みたい」
白いマフラーの人が言うと男の人が頷いた。
「髪色もよく見ると青みがかっているな。君、色は青か?」
「色…?」
「俺はパレット団団長のクロス。彼女達は俺の仲間だ。もし良かったら俺達の仲間にならないか?」
「仲間…」
「うん。体が治ったら一緒に旅をしてみない?」
隣の彼女が淡雪のような微笑みを浮かべる。
何て優しい。何て温かい人たちだろう。
少年の大きな目が潤んだ。
「僕、ナミダ。できるならあなた達と一緒に行きたいです…!」
3人が笑顔になった。後ろで旦那が喚いていたが、構うものか。彼はピンクの少女に睨まれて引き下がった。

もう独りじゃない。

少年は自分の瞳の色より美しく澄んだ雫を零しながら、笑った。

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筆者:東雲優里  読者:280  評価:0  分岐:1

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このストーリーの評価

ANTZ #0 - 17/07/07
ANTZです。
面白そうな話で、私も書かせて頂いたのですが、つい長くなってしまいました(T_T)
タイトルの「名前の意味は」←回収できませんでした。くそう。
余談ですが、ナミダと言う名は、彼の亡くなった母が付けたものです。

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