ぼくはこう生きている 君はどうか の感想

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重松清氏は「きよしこ」に代表されるように、
世間では「弱者」扱いされてしまう人たちに対して、
常にあたたかい視線を向けてきた。

　　「あしたのジョー」になれたら、かっこいいよな……
　　だけどみんな、「マンモス西」のように平凡に生きるようになる。
　　でも……それでいいじゃないか。

あるエッセイで、そういうことを書いていた。
この考えが重松氏の作品の多くに流れている。
目線が低いのだ。

鶴見俊輔氏にも、同じことが言える。

字も大きく、１５０ページほどの対談集だから、あっという間に読める。
けれども、この充実した読後感！
まさにタイトル通り、鶴見氏は「ぼくはこう思う、君はどう？」
と小説家に語りかける。決して上から目線ではない。

「ぼくもよくわからないんだ……」といった迷いや戸惑いも、
そのまま吐露される。
重松氏も真剣に考え、答え、悩む。

重苦しくないが軽くもない。
心に響く一冊である。
世の中のこと、人生……いろんなコトに悩んだときの、
ダイレクトな答えではなく、なんというか……解決へのヒントのようなものがあるのだ。