日本の愛国心 - 序説的考察 (中公文庫) の感想

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参照データ

タイトル日本の愛国心 - 序説的考察 (中公文庫)
発売日2015-06-23
製作者佐伯 啓思
販売元中央公論新社
JANコード9784122061309
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » 哲学

購入者の感想

 今日、「愛国心」を論じることは難しい。この難問たる所以は今に始まったわけではないと、戦後日本の二重価値国家をナショナリズムの評価から論じている(第1章)。ついで、微妙に違う表題「愛国心(パトリオティズム)」と「ナショナリズム」「愛郷心」の概念を鮮やかに比較している(第2章)。更に論を進め、愛国心の教育を素材にして、西欧的近代国家の「愛国心」の意味を概観している(第3章)。以上はさておき、著者の本領が発揮されるのは後半3章である。
「負い目」をもつ日本の愛国心…三島由紀夫と吉田満の「戦後」、保田與重郎の「万葉の精神」、小林秀雄の「戦争」など独特の愛国心に切り込む。
歴史観という問題…靖国問題について、「あの戦争」をどう捉えるか、東京裁判をどう受け入れるか、どちらかに加担するのではなく、意見の対立する論点を究明しようとしている。ただ序論である本書の性質上、これに続く論拠の詳述が望まれるところである(第5章)。
日本の歴史観と愛国心…福沢諭吉の近代観、西田幾多郎の歴史観、保田與重郎の思想のもつ意味、そして再び「日本の愛国心」の意味(第6章)を問う。
 著者は「愛国心とは」とその必要性を訴えたりするものではなく、個々の具体的論陣を紹介し、この国のことを考えたかを解き明かそうとしている。その誠実さを買いたい。個々人の「愛国心」観に迫れる一書である。(私はここで個人的好みは控える)

 

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