ケプラー予想: 四百年の難問が解けるまで (新潮文庫―Science&History Collection) の感想

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タイトルケプラー予想: 四百年の難問が解けるまで (新潮文庫―Science&History Collection)
発売日2013-12-24
製作者ジョージ・G. スピーロ
販売元新潮社
JANコード9784102184714
カテゴリジャンル別 » ノンフィクション » 科学 » 科学史・科学者

購入者の感想

「ケプラー予想」といっても,ケプラーの3法則とは何の関係もない離散数学の問題である.同じ大きさの球を空間に詰めていくとき,最も効率よく,つまり最も高い密度で詰めるやり方は,本書の表紙にあるように,凹みの部分に次々積んでいった詰め方であろうというものである.直観的には当たり前だが,証明するとなるととてつもなく大変なのだ.球の中心が一様な格子点上にある配置に限定するならば,大数学者ガウスが非常に巧妙な方法で証明した.しかし,配置の仕方に制限を置かない一般的な証明は,ケプラーから400年後の20世紀の終わり,ヘールズによって与えられたのである.本書はこのケプラー予想解決に至る苦闘の研究史をドキュメンタリー風に描いたものである.著者はこの問題の数学的内容を十分理解したうえで,(原理的には)素人にもわかるように解説している.基礎的な道具はピタゴラスの定理と三角法,球面三角法以上のものは使わないわけだが,決して簡単にフォローできるというものではない.それで著者は数学的な計算は付録に廻し,本文ではエッセンスのみを説明するようにしている.そして随所に多くの登場人物の略伝を添え,気晴らしできるように構成されている.
ヘールズの証明は,アッペル・ハーケンの4色定理の証明のうわてをいくもので,全くコンピュータ漬けのすざまじいものであった.彼の論文の査読者グループは証明に欠陥がないか調査したが,4年の苦闘ののち,99%間違っていないという報告しかできなかったという.こういう誰も確かめて見られない証明を,数学者は今後受け入れていかなければならないだろう.
本書の内容は,有益な知識が得られるというものではないが,高級な頭の体操として面白いといえる.

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