蛙鳴(あめい) の感想

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タイトル蛙鳴(あめい)
発売日販売日未定
製作者莫 言
販売元中央公論新社
JANコード9784120042409
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 外国文学・著者別 » マ行の著者

購入者の感想

 本書は間違いなく面白いです。
 傑作「白檀の刑」「転生夢現」にも劣らない作品です。安心してお読みください。

 本書は,中国人劇作家であるペンネーム「オタマジャクシ」が,敬愛する日本人作家杉谷義人に勧められて,女医であった伯母の物語を手紙の形で伝える,という形で進行します。(この杉谷という作家は,大江健三郎がモデルなのではないかと思われます。)
したがって,これまでの作品以上に日本人の一人として親近感を覚えます。
 この伯母の波瀾万丈の人生がとにかく凄まじい。
 誰よりも優秀な産婦人科医として数多くの出産に立ち会い,数多くの生命を救った伯母が,その後の文化大革命によって虐げられ,それにもかかわらず,党のかかげる人工抑制のための計画出産(いわゆる一人っ子政策)実現のため,狂信的なまでに,二人目を身ごもった女性を堕胎させることにすべてをかける。人口抑制という大義のため,数多くの生命が犠牲になってしまう。

 本作は,中国で初めて,一人っ子政策の問題に正面から切り込んだ小説だといいます。
 ただ,本作はそれを声高に批判するのではなく,冷静に物語りの中にとけ込ませています。
 それは文化大革命を取り上げた「転生夢現」同様莫言の物語に対する姿勢です。
 主人公オタマジャクシは杉谷に対する手紙で次のように言います。
「書くことが贖罪となるなら,わしは絶え間なく書き続けます。誠実に書くことで初めて贖罪が可能じゃというなら,書くにあたって誠実さを貫きましょう」

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