「自殺社会」から「生き心地の良い社会」へ (講談社文庫) の感想

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タイトル「自殺社会」から「生き心地の良い社会」へ (講談社文庫)
発売日販売日未定
製作者清水 康之
販売元講談社
JANコード9784062766111
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会一般

購入者の感想

本書は、清水さんが上田さんに対談を申し込んで実現した対談集である。
清水さんはNPOライフリンクの代表、上田さんは東工大大学院准教授、文化人類学者。
清水さんが迷いの中にいる時、上田さんが書いた『宗教クライシス』という著書に出会い、自分の中にあるもやもやが解きほぐされた気がした、だから会いたかったという。

本書には、清水さんが自殺問題にかかわることになるきっかけが書かれている。『自殺と言えなかった』(あしなが育英会著)を読み、NHKディレクターとして取材に行き、自死遺児とかかわったことが契機となったという。

32歳の時、NHKを退職し、ライフリンクを設立。自殺対策基本法制定に奔走する。法制化の意味は、1998年以降3万人超の自殺者を出し続けているのは、自殺が個人の問題ではなく、社会の問題であるとの合意をとりつける必要があったから。そうしないと国も自治体も動かせない。民主党政権下では内閣府参与として活躍した。

日本社会は安全ネットなしの綱渡り社会。1回失敗したら、再チャレンジする仕組みはない。「誰でもよかった」という殺人事件が頻繁に起こっているのは、自分が「誰でもいい」人間として扱われて来たから。そんな社会を作って来たのは政治家だけではなく、誰もが自分にも責任があると認識しなければならない。

日本の社会システムが自殺を生み易いともいう。アメリカでは、住宅ローンが払えなくなったら、物件を放棄すればローンもチャラになる。だから、サブプライム問題が起こった時も自殺者は増えなかった。一方、日本では、ローンを払えなくなり、住宅を売っても残金を払えない場合、生命保険で残金を返すという選択肢がある。この仕組みは、中小企業の経営者にも当てはまる。

ライフリンクは自殺の実態調査をし、対策への提言と実践も行っている。ちなみに、2012年度は15年ぶりに年間自殺者数が3万人を下回った。ライフリンクの活動資金はどこから来ているのか、また、清水さん自身の生活費はどうやって稼いでいるのか? その答えは直接的には語られていないが、感動の「おわりに」の文章から垣間見える。ぜひ「おわりに」まで読み進めていただきたい。

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