増補 民族という虚構 (ちくま学芸文庫) の感想

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参照データ

タイトル増補 民族という虚構 (ちくま学芸文庫)
発売日販売日未定
製作者小坂井 敏晶
販売元筑摩書房
JANコード9784480093554
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会一般

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購入者の感想

 本書は、「民族」は存在するのか、また存在するのであれば、それはどのような意味においてなのか、という根本的な問いから出発し、様々な民族現象を新たに見直す視点を提示しようとするものである。時間の経過にもかかわらず民族が同一性を保つと我々が感じるのは何故か。文化の連続性は何を根拠にするのか。変化する多くの要素とは別に、民族の同一性を保つ本質的な要素や構造が存在するのだろうか。もしそうのような不変の要素や構造が実際に存在しなければ、同一性を生み出す社会的・心理的からくりはどうなっているのか。以上のような問いに対して本書は、民族同一性は虚構に支えられた現象だと主張する。そして虚構であるが故に現実が生成されるという虚構と現実の積極的な相補性を明らかにする。
 章立ては以下の通り。

はじめに
 第1章「民族の虚構性」
 第3章「虚構と現実」
 第4章「物語としての記憶」
 第5章「共同体の絆」
 第6章「開かれた共同体概念を求めて」
 補講「虚構論」

 「民族」とは客観的なものではなく主観的に構成されたものである、という本書の主張は一貫しており説得的である。もっとも、このような社会構築主義的な理解は目新しくない。本書の優れた点は、単に民族の虚構性を指摘しニヒリズムに陥るのではなく、虚構の生産的なプロセスに注目している点にある。そして、そこから本書は「開かれた共同体」概念の構築を試みる。それが成功しているかどうかは別として、哲学、社会学、社会心理学などの様々な知見を用いつつ、ユダヤ人から在日朝鮮人まで取り上げており、興味深く読めた。一読を勧めたい。

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