ザ・タイガース 世界はボクらを待っていた (集英社新書) の感想
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参照データ
タイトル | ザ・タイガース 世界はボクらを待っていた (集英社新書) |
発売日 | 2013-11-15 |
製作者 | 磯前 順一 |
販売元 | 集英社 |
JANコード | 9784087207149 |
カテゴリ | ジャンル別 » エンターテイメント » 演劇・舞台 » 演劇 |
購入者の感想
これはもう傑作の書、NHKの朝ドラのテレビ小説にしても良いくらいザ・タイガースと、彼らにかかわった国内外のさまざまな人々、時代を彩った有名人、著名人、音楽関係者たち、そして伝説の文化サロン、キャンティのドラマチックな時代背景が鮮やかに描かれている。論文にも匹敵する膨大な資料を基に書かれた磯前氏の渾身の一冊だけあって、ザ・タイガースとはどんなバンドだったのか、結成から失踪、解散に至るまで、激動の時代に咲き、数々の話題や騒動を巻き起こし、桜の花びらのように散っていったその輝きと葛藤の全貌がこのわずか800円の本の中に集約されている。単なる人気バンドという域を超え、社会史の一ページを飾ったナベプロの至宝ザ・タイガース。ファンや一般の読者のみならず、音楽史、芸能史、社会史に関心のある人にもお勧めの書です。ザ・タイガースには他のGSにはない音域の広さがあった。そして2つの顔を持つバンドでもあった。ジャズ喫茶で洋楽ロックをカヴァーずるライブバンドとしての顔と、テレビや映画、コンサートで乙女チックな歌謡曲を歌うアイドルとしての顔である。前者は内田裕也が、後者は渡辺プロダクションとすぎやまこういちが巧みにプロデュースしていたといってよい。また沢田と加橋の両極牲もうかがい知れる。喧嘩をすると沢田は渡辺美佐に、加橋はキャンティの川添梶子に泣きついている。とりわけ失踪し除名処分された加橋とグループを解散に追いやった瞳の二人は文学芸術志向に加え、こだわりや自己主張が強く、ナベプロ側にとって頭の痛い、扱いにくい存在として手を焼いたに違いない。ともあれレコードプレーヤーの普及率も低く、コンサート会場や一般の書店でもレコードやソノシートが売られていた時代であったことを考えると当時のオリコンの信ぴょう性も多分に疑われる。またザ・タイガース支持層の中心が教育委員会の監視下にあった女子中高生であったことからも彼らが与えたインパクトは公表されている数字以上に大きいものがあったいえるだろう。
映画「世界はボクらを待っている」より
映画「世界はボクらを待っている」より