「池田大作 大学講演」を読み解く 世界宗教の条件 の感想

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本書は、各国の大学でおこなわれた池田大作氏の講演の中から、佐藤優氏が15編の講演を読み解いていく「池田講演の解説集」です。
15編もの池田会長の大学講演を、ここまで突っ込んで読み解いた書籍は、私の知る限りでは今までになかったと思います。

熱心なプロテスタント信徒であり、同志社大学大学院神学研究科を修了された佐藤氏らしいキリスト教的視点や、外務省主任分析官ご出身の、ロシア通の外交専門家としての視点が随所に見られて、興味深く読むことができました。

佐藤氏は「池田大作全集」を数十巻所有しており、それを毎日読まれているそうです。
最近は「小説・人間革命」を再読し「平和とは何か」「戦争とは何か」「国家とは何か」の3つの観点から「池田思想」を学ぼうとされているのだとか。

ご自身を「創価学会のファン」とおっしゃる佐藤氏は、池田会長のことを「悟りを開いたという点では仏であるが、衆生を救済するためにこの世にとどまっている菩薩」と述べられています。
創価学会員でもここまで堂々と言われる方は滅多にいないと思いますが、それだけ「池田思想」を深く研究しているからこそ、このような大胆な発言ができるのでしょう。
それと同時に、創価学会・池田会長への盲目的な礼賛に陥ることなく、「観察者」として淡々と論を進めていく冷静な姿勢は立派だと思います。

【以下、本書の内容について】
本書の内容は、大きく2つにわかれています。
「海外大学講演編」ともいうべき前半の第1章〜第11章は、モスクワ大学・ハーバード大学・北京大学・ボローニャ大学などの、海外の大学でおこなった講演を取りあげています。

講演がおこなわれた当時の時代状況や、(当時のソ連における、共産党一党独裁体制下のモスクワ大学のような)イデオロギー的締めつけの実態などを的確に把握した上で、池田会長は鮮やかに聴衆の心をつかんでいきます。

佐藤氏は、池田会長を評して「天才的な洞察」「宗教的天才」「事柄の本質がわかっている」などと絶賛します。