誰も読まなかったコペルニクス -科学革命をもたらした本をめぐる書誌学的冒険 (ハヤカワ・ノンフィクション) の感想
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参照データ
タイトル | 誰も読まなかったコペルニクス -科学革命をもたらした本をめぐる書誌学的冒険 (ハヤカワ・ノンフィクション) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | オーウェン・ギンガリッチ |
販売元 | 早川書房 |
JANコード | 9784152086730 |
カテゴリ | ジャンル別 » ノンフィクション » 科学 » 科学史・科学者 |
購入者の感想
推理小説を読むようにスリリングな科学史研究。命題はアーサー・ケストラーが誰も読まなかったと断じたコペルニクスの『回転について』が後世の天文学者、数学者や物理学者にどのように受容されたかを世界に残された初版と二版の数々を分析することで、ケストラーの誤った見解を反証した労作である。コペルニクスの地動説は近代の認識論の代表でもあるカントの純理でコペルニクス的転回というメタファーにもなったくらいに近代科学と科学革命の原点でもある。その実際を証拠として諸版に残された書き込みと古文書学で分析してゆく。歴史的名著は稀覯本であり、盗難とその密売が絶えない。その現場にも専門家として立ち会いながら、鑑定士としても一役買いながら、科学革命の見えざる大学としての知的ネットワークを描き出す。知の伝播を考える上でも重要な一冊である。