旅人 ある物理学者の回想 (角川ソフィア文庫) の感想
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参照データ
タイトル | 旅人 ある物理学者の回想 (角川ソフィア文庫) |
発売日 | 2011-01-25 |
製作者 | 湯川 秀樹 |
販売元 | 角川学芸出版 |
JANコード | 9784044094300 |
カテゴリ | ジャンル別 » ノンフィクション » 科学 » 科学史・科学者 |
購入者の感想
誰もが知る日本初のノーベル賞受賞者の思春期を綴った回想録である。読売新聞で紹介された書評を読んで、すぐに購入した。
科学者の回想録ということで、理系的なるものとの邂逅を避けていた自分が読み切れるか少し心配したが、純粋な一青年の回想録
として比較的肩肘張らずに読むことができた。
この本を通じて、思春期や青年期における教育の役割というものがいかに大きなものかを、実際の一人の学者の人生を通して再認
識でき、自分にとっては大きな収穫だった。また、当たり前のことだが、現在の日本の教育の実態を振り返ると、子供たちを取り
巻く環境が全く異なっていることに改めて気付かされた。明治・大正時代の知識層が幼い頃から慣れ親しんだ「教養」の衰退、そ
れに伴う広い意味での想像力の欠如など、現代に問われている問題が少なからず示されているように感じた。
これからの日本は、人材の持つ力で社会の成長を図らなければならない時代であると思う。だからこそ、豊かな知性を育む環境が
大切であるにも関わらず、現状はむしろそれとは遠くかけ離れていることに大きな危惧も感じた。
とはいえ、いつの時代でも人は同じような悩みや問題に直面し、それぞれに苦悩しながら成長していく点には、深く共感できる部
分もあり、湯川博士が成長した時代の雰囲気も垣間見える点も、この作品に魅力を添えていると思う。
科学者の回想録ということで、理系的なるものとの邂逅を避けていた自分が読み切れるか少し心配したが、純粋な一青年の回想録
として比較的肩肘張らずに読むことができた。
この本を通じて、思春期や青年期における教育の役割というものがいかに大きなものかを、実際の一人の学者の人生を通して再認
識でき、自分にとっては大きな収穫だった。また、当たり前のことだが、現在の日本の教育の実態を振り返ると、子供たちを取り
巻く環境が全く異なっていることに改めて気付かされた。明治・大正時代の知識層が幼い頃から慣れ親しんだ「教養」の衰退、そ
れに伴う広い意味での想像力の欠如など、現代に問われている問題が少なからず示されているように感じた。
これからの日本は、人材の持つ力で社会の成長を図らなければならない時代であると思う。だからこそ、豊かな知性を育む環境が
大切であるにも関わらず、現状はむしろそれとは遠くかけ離れていることに大きな危惧も感じた。
とはいえ、いつの時代でも人は同じような悩みや問題に直面し、それぞれに苦悩しながら成長していく点には、深く共感できる部
分もあり、湯川博士が成長した時代の雰囲気も垣間見える点も、この作品に魅力を添えていると思う。