理科系の作文技術 (中公新書 (624)) の感想

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タイトル理科系の作文技術 (中公新書 (624))
発売日販売日未定
製作者木下 是雄
販売元中央公論新社
JANコード9784121006240
カテゴリ人文・思想 » 言語学 » 日本語・国語学 » 論文作法・文章技術

購入者の感想

なかなか見事な一冊です。古い本ですが、私が知る限り、理系向けの作文入門としては、日本でこれを超える本はちょっと無いと思います。一度改訂されているようですが、結局あまりいじらなかったそうです。

私は洋書のパラグラフ・ライティングの本を何冊か読んでいます。特にアメリカでは、作文の技術を小さい頃から授業で教えており、日本人の想像を絶する量の多種多様なパラグラフ・ライティングの本が出版され続けています。この本の著者は、明らかにそれらの本を何冊か読んで自分のものにしています。

例えば、パラグラフやトピックセンテンスなどの説明は、標準的なパラグラフライティングの本そのままです。日本語での起承転結の良さは素直に認めつつも、なぜそうすることが必要なのかということを隋所できちんと説明した上で、基本的に欧米流に沿った作文技法の説明が行われています。テーマの絞り方なども同様です。ただし、本書がそれだけの本なのであれば、多少英語が読める人は洋書をそのまま読めばいいということで終わってしまいます。

本書のもっとも優れた点は、日本語の特徴や、日本語のふくよかな表現方法を熟慮した上で、欧米流のパラグラフライティングの良いところとうまく折り合いをつけ、理系の分野においてこれを日本語で適用する場合はどのようにすればよいかということを示していることです。

日本人は、古くから海外のよいものを自分達の元々持っている文化を生かす形でうまく取り込んできました。本書は、作文技法においてもそれを試みて一定の成果を挙げた本だといえます。

理科系の、と銘打ってはいますが是非文系の方、小説やエッセイを書きたいと思っている方には是非読んでいただきたい。
独りよがりな書き方はなくなり、シンプルな文が書けるようになるはずです。
文を書く訓練は小さいうちからはじめたいもの。
その意味で、教育にたずさわる方に熟読していただき、各地で実践していただきたいと思います。

◆理科系の作文とは、読者に読まれることを想定し、

彼らに明快かつ効果的に情報を表現・伝達することを目的とした文章である。

 不要な言葉を一語でも削る文がよしとされ、心情的要素の混入は好まれない。

内容として必要なのは「事実」と事実から論理的に導き出した「意見」との2つ。

 最も重要なのは読者への配慮であり、切り詰めたスペースに論理的順序で文章を記述し、

読者に主題の結論・研究目的・研究法などをすばやく理解してもらうことが大切なのである。

◆全体として

 序文〜8章までは、文章の構成法(立案・組み立て・パラグラフ)、

          表現の仕方といった文章内容について

 8章〜最後までは、日付・辞書・文献引用について、

         手紙・説明書・原著論文・学会講演・・・などより細かく、専門的内容に入っていく

☆本書を読んで、特に役立つと感じたところは、6章の「はっきり言い切る姿勢」である。

我々日本人はその文化の特徴として、文にぼかし言葉を多用する傾向がある。

 例えば、・・・といって良いのではないだろうか。・・・と思われる。・・・と見てもよい。

などと間接的に自身の見解を述べたがる。これは自分もそうであった、、、

☆著者は言う。

「相手をおもんばかって敢えて自分の考えを明言せぬ言語習慣が、私たちの社会の風通しをわるくしている」と。

 確かに、日本は非効率的に情報をやり取りするのでもどかしいと感じる。

 理科系の作文では自分の考えを自信なさげに言うよりか、

いくらか無理があってもはっきりと断定的にいう姿勢のほうが望ましいそうだ。

 自分は、これから意識的に「はっきり言い切る姿勢」をとろうと、読後に思った。0

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