山びこ学校 (岩波文庫) の感想

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タイトル山びこ学校 (岩波文庫)
発売日販売日未定
販売元岩波書店
JANコード9784003319918
カテゴリ人文・思想 » 言語学 » 日本語・国語学 » 論文作法・文章技術

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1935-36年生まれの山形県山元中学校2年生の全員の作文と担任教師である無着成恭のあとがきからなる1950年の作品。多くの生徒は戦死者が家族におり、貧しさ故に学校を休んで家業に従事しても診療費や教育費が払えなかったり、食にも困るような時代背景。その中にあって若い無着先生は “いつも力を合わせて行こう。陰でこそこそしないで行こう。いいことを進んで実行しよう。働くことが一番好きになろう。何でも、なぜ?と考える人になろう。いつでも、もっといい方法がないか、探そう”と言って、生徒に“集団的な意識を育てて“いきます。生徒たちが”ひとりひとりの生徒が持ち出してくる具体的な暮らしの問題(貧困・親の病死など)を自己を含む集団の問題として、一緒に考え解決しようと努力している“姿勢は、子供の人格形成の方法として創られた生活綴方が成功していることのあらわれです。やがて生徒は、” あれほど注意してもなくならなかった‘勝手だべ’という言葉までもが、すがたを消したでないか。今では言いつけられなければ、手伝わなかったことも、しなければならんと考えて言いつけられる前に、やろうとしている“というように成長していきます。生徒の思考はきわめて成熟しており、”農民はもっと共同のものを大事にして、自分だけよければよいという考えを捨てることという結論を導き出し、農民の貧乏は、自然的な条件ではなく、人間同士の条件の中にある“といったように、身近な問題から”根本的な批判が生まれ、解決へのきっかけが捜し求められ“ていきます。この本の解説は優れていますが、解説には、山びこ学校の教育は、”ひとりひとりの子供を競争させ孤立させる偏差値教育“とは異なり、山びこ学校にみられるような思考の習慣を身につけることは”小中学生の時代から必要であるばかりでなく、私たち大人が生まれ変わるために必要である”としています。“おとなの価値観の再構築の方法”としても、現代でも広く読み継がれて欲しい一冊です。最後に、無着先生のことばから“学力とは自分を生かすための選択力であり判断力なのだ。その力を子供につけてやるのが教育なのだ。テストの点数ではないのだ。”

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