仏教抹殺 なぜ明治維新は寺院を破壊したのか (文春新書) の感想

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タイトル仏教抹殺 なぜ明治維新は寺院を破壊したのか (文春新書)
発売日販売日未定
製作者鵜飼 秀徳
販売元文藝春秋
JANコード9784166611980
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

著者は浄土宗僧侶でありながら、明治期に行われた廃仏毀釈について取材を通して書かれたというルポルタージュ。

「はじめに」では廃仏毀釈以前の日本の状況を概説する。
中世〜江戸期は神道と仏教がまぜこぜになっており、たしかに寺社内に神社を見ることはいまでもあるし、日本史や古典に接すると天皇が寺へ、仏門へ帰依することが幾度と登場する。

廃仏毀釈の悲劇は今やスター級の仏像にも及んでおり、なんと明治初期に興福寺の無著・世親像はゴミのように捨て置かれていたというから驚きだ。

この廃仏毀釈の素地をつくったのは、第二代藩主の水戸黄門こと光圀であり、この時分は幾分マイルドであったものの、第九代藩主で徳川慶喜の実父、斉昭は、天保の宗教改革として容赦ない廃仏毀釈を行った。

その後、廃仏毀釈の激しかった各地域を紹介するが、トップバッターは鹿児島だ。
なんと寺院の破却率は100%というから徹底的すぎる。
それなのに現在でも墓には生花が常に生けてあり仏教に篤く、切り花消費量が日本一な県民というのは実に皮肉である。

一方、ともに明治維新を牽引した長州は廃仏毀釈が鹿児島と比してより穏やかであったのは、寺子屋の多さが大衆を巻き込む破壊行為を食い止めたのだろうと著者は述べている(鹿児島は寺子屋は少なく郷中教育という独自の教育体制をとっていた)。

一時の政治の転換期に、数多の名刹古刹、国宝重文が失われたことを考えても、目を逸らしてならない悲劇であることを本書は教えてくれる。

粗探しするわけではないが、19ページの3月28日の3日後は4月1日とあるが、
実際は4日後である。書籍化する前のチェック機能が働かなかったのか?と気になった。

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