徘徊タクシー の感想

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参照データ

タイトル徘徊タクシー
発売日販売日未定
製作者坂口 恭平
販売元新潮社
JANコード9784103359517
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » さ行の著者

購入者の感想

新内閣政府総理大臣である坂口恭平の新作中長編小説、徘徊タクシーですが、この人はまた現代にあってエネルギーの迸る作品を書きますね。決して難しい言葉を使わずに等身大の言葉で物事を他人に伝えるという表現姿勢の中で、氏がこれまでの人生で得た知見と言うか驚きや感動を思いつくままに(あるいは思い出すままに)小説に翻訳、書きなぐっています。それが読み易いのだから、これは驚くべき才能です。
この人は建築家であり思想家であり画家であり小説家であり一種の革命家でさえありますが、本人は飄々と、これが俺だからという一人の人間であることを力強く意識しています。現に、躁鬱であることを自白し自身の弱さも隠さずに、それを救ってくれた存在についての感謝も同じように呟きます。そして、その実感を巧みに文章表現に落とし込んでいる。文筆で自身の思いを表現する事に成功しています。少し、高橋源一郎の作品に近いような気もしましたが、結果そうなったというだけでしょう。本質は異なっています。
この作家は作家人自身が作品のような人ですから、興味・関心を持たれた方はインターネット、youtube、書籍、ツイッター等から逆行するように、伝うように人格を遡るのも面白いかもしれません。今を生きる事、今を死ぬ事に驚く程に意識的な人であり、好奇心・関心の向いた先に実際に動くことのできる人です。ロジカルに物事を考えているからこそ破綻がなく、であるからこそ危険とも言えますが、今、最も魅力的な人でありその人の作品です。彼の小説のみならず歌を訊き、思想を読んで、その呟きを訊いて、坂口恭平というもはや一現象のような面白さを知ると、世界が幾らか広がると思います。0円ハウスから独立国家、思考都市など、現代的な感覚を個人の関心に巧みに吸収し吐き出す事のできる氏の、最も魅力的な一作であることは間違い在りません。

ps
雲呼庵さんのレビューが素晴らしすぎるので自分のレビューを消そうかと悩んでいます。

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新潮社から発売された坂口 恭平の徘徊タクシー(JAN:9784103359517)の感想と評価
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