青年のヒサハルは坂道を下りながらあれこれと思考を巡らせていた。これまでの人生でいろいろあったのではあるがいつの間にか丸い木の板に乗って坂を下っていた・・・・・・。坂を登る腰のへの字に折れ曲がった旅人のようなしんどい日々もあったのだけれど・・・・・。ヒサハルはとある程よい数の人が行き交う昔ながらのアーケードへたどり着いた。小説。約400字。7ページ。

その男は、食事の配膳が机の上に来るとまるで100メートル走を全速力で走るかのように猛スピードで食事を食べ、食べ終えるやいなや、斜め後方にあるとある部屋の中へ走り込む。そしてその部屋の中でぼんやりと嬉しそうに他のメンバーたちが食べる様子を見るのだ。その様子は船首に仁王立ちして浩々とした海を眺めるキャプテンのようであった。小説。約300字。6ページ。

空が紫色に変わった。<><><>宵（よい）の入り口。<><><><>腕につけた黒い安物の腕時計を確認すると、午後6時を回ったところだ。<><><>夏のはじめである。<><><><><>俺はこの渦を巻く瞳と心で、異世界をたくさん見てきた。<><><><>しかし、今見ているこの世界が、<><><><><><>現実なのか異世界、非現実なのかはっきりと区別がつかなくなっている。<><><><><><><>色眼鏡などをかけているわけではない。<><>だけど空が見たこともないような濃い濃い紫なのだ・・・・・・・・。<><><><><><><>小説。<><><>約2000字。<><><>24ページ。