孔子 の感想

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タイトル孔子
発売日2012-10-05
製作者和辻 哲郎
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カテゴリ哲学・思想 » 東洋思想 » 日本 » 一般

購入者の感想

 さすがに哲学者だけあって、着眼点が違います。いきなり「人類の教師とは」の話から始まるのには驚きました。著者の説には、感銘を受けるところ大なのですが、この本は初心者向きではありません。『論語』の原典批判が主な内容なので、『論語』と『孔子世家』くらいは知らないときついです。「薄いから」といってはじめに手にとると、半分以上チンプンカンプンのまま終わってしまいますので、「学而?雍也??」という方には向きません。
 ですが、ある程度孔子や論語を知ってから、著者の説に触れると、新たな発見に出会えます。特に、「学而」と「郷党」に挟まれた「泰伯」を除く九編が、明確な目的のもとに編纂されたのだという見方を受けて、今まで個々バラバラだった論語に一本の筋が通りました。「学而」は孔子その人の思想を示しているのではなく、孔子学徒のモットーを掲げている。このように見ていくと、なんで、「学而」にいきなり有若が登場しているのか、「為政」に孔子の生涯についての詞があるのかなどの謎も解けてきます。あくまで、『論語』を読むにあたっての筆者の見解ですが、解釈のひとつとして大いに参考になるかと思います。最後には、孔子について筆者の考えを示しています。孔子は復古主義的であったけれど、原初的思想家だったのだと。だからこそ、孔子は偉大な思想家なのだと。

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