オスカー・ワイルド - 「犯罪者」にして芸術家 (中公新書) の感想

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参照データ

タイトルオスカー・ワイルド - 「犯罪者」にして芸術家 (中公新書)
発売日販売日未定
製作者宮崎 かすみ
販売元中央公論新社
JANコード9784121022424
カテゴリ文学・評論 » 評論・文学研究 » 外国文学研究 » 英米文学

購入者の感想

 筆者は「まえがき」でこう書いている。

 ワイルドという人は、その人生こそ書かれるべき人物なのである。

 またこうも言う。

 本書では、同性愛をめぐる思想・文化史とワイルドの生涯とが交錯するドラマを描くことを目指した。

 書き残した作品を通してしかワイルドにアプローチできないのは、あまりにももったいない。

 これらの要件を全て満たし、しかも大部にならずコンパクトにそれでいて余すところなく書かれた本書を強く推したい。これはオスカー・ワイルドのことを少しでも知りたいという人に最も好適な本であり、新書とはかくあるべしと思われる。
 
 私はワイルドに関しては全くの素人である。そんな私でも86頁〜89頁の「自然は芸術を模倣する」などを読むとこの本に出会ってよかったと思える。

 著者の宮崎かすみという人は大学の先生だそうだが、本文を見る限り作家か評論家またはこれまで何十冊もの著書を出した手慣れた文筆家のようだ。まことに歯切れがよくテンポがよく安心して読める。文体及び内容からしてこれが女性による手で書かれたということがちょっとした驚きであった。

 本書の誕生を心から祝いたい。これを企画し世に出した中公新書はさすがだと思った。

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