日米開戦の悲劇 の感想

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タイトル日米開戦の悲劇
発売日販売日未定
製作者福井 雄三
販売元PHP研究所
JANコード9784569803098
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

何にせよジョセフ・グルー『滞日十年』を論ずる著作がでることは喜ばしい。

先の大戦について、我が国内部の著作は相当な数にのぼる。しかしながら特に米国が当時の日本をどう見ていたかについてはそう多く翻訳されていない。グルーは最も日本政府の近くにいた米国人であったから、『滞日十年』は真に迫る文章で溢れている。我が国の外交がいかに洞察力を欠いていたか、つくづく知らされる。

ただ著者の2・26事件に関する評価には疑問がある。2・26事件以前は天皇機関説排撃運動がありさらにその前には統帥権干犯事件があった。いずれも帝国憲法を蹂躙したものである。もし天皇が2・26事件を黙認していたら、とは恐ろしい仮説であり『帝国憲法義解』を理解していないと勘繰られても仕方がないのではないか。

また本書にはジョセフ・グルーの有名なシカゴ演説(1943年12月29日)が語られていない。むろんタイトルからして日米開戦にいたる日々のことだから期待してはいけないのだが、もったいない感じがする。

「日本の人々は偽造された宗教および詐欺の憲法からの自身の解放者であらねばならない。」これはGHQの神道指令と憲法改正につながっている。グルーにこう云わしめた戦前日本の神社神道・帝国憲法とは何だったのか。GHQによる憲法改正を日本の弱体化で済ませ、戦後日本は改正の具体的な理由を解明してこなかった。そのツケを払うチャンスがここにあるはずである。

GHQの占領政策を考える上で、あるいは今日の日本を考える上で、最も重要なテーマだけに残念である。この分析があれば『滞日十年』の文章もより鮮明になったと思う。著者にはぜひシカゴ演説の研究成果を期待したい。

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