母権制序説 (ちくま学芸文庫) の感想

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参照データ

タイトル母権制序説 (ちくま学芸文庫)
発売日販売日未定
製作者J.J. バハオーフェン
販売元筑摩書房
JANコード9784480086983
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 西洋思想 » 西洋哲学入門

購入者の感想

法制史に精通するスイスの裁判官が、膨大な資料の探索を経て、父権制を遡り
母権制を論じたものである。電光石火でなされる彩り豊かな認識の総合、官職の
神的性質を忘却した民主主義の荒廃、啓示を受けた女性が遂行していた戦闘行為や
時には肉体的魅力による布教など、極めて興味深い見識が横溢する論考であると思う。

「内的な生活と外的な生活とがつねに一つの全体を形づくるものであれば、あらゆる学問の
営みもまた、必ずその当時の渾身の努力を払っていた生活状態全体と関連しているに違いない
のである。内的な体験とまったく外的な環境とは、相合して、我々の仕事とその性格とを
作り上げる。一方を抜きにして、他方を考えることはできないのである。…書き手が、自らの
思想や観念の全体像を他人の目にさらすには、誰しも自らに打ち勝たなければならない。」(8頁)

「神話は、一見融通無碍のように見えようとも、実は、一定の法則に服しているのである。…神話は、
民族生活がいまだ自然的な調和を保っていた文化時代の産物であるので、自然との間で、人間の恣意
的な思弁の産物がつねに持ち合わせることのない、あの無意識的な法則性を共有しているのである。
至るところに体系があり、至るところに連関がある。いっさいの細部は大きな根本法則の表現であり、
その豊富な表明は根本法則の内的真理と自然的必然性を究極的に保証しているのである。」(161頁)

「人間にはじめて文明をもたらし、いっさいの徳目を生み出し、人間が持つ崇高な側面を育て上げた
関係は、暴力に満ちた生活の真っ只中で、愛と協調と平和という神聖な原理として作用する、母なる
ものの魔力であった。胎児を宿すことによって、女性は、男性よりも早く、自我を越えて他者を慈しみ
愛し、全身全霊を捧げて、他者を守り養育することを学んでいる。いまや、あらゆる文明の向上も、生活
におけるあらゆる善行も、献身も、養育も、死者の哀悼も、すべて女性に始まるのである。」(166頁)

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