貧困の倫理学 (平凡社新書) の感想

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参照データ

タイトル貧困の倫理学 (平凡社新書)
発売日販売日未定
製作者馬渕 浩二
販売元平凡社
JANコード9784582857702
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 倫理学・道徳 » 倫理学入門

購入者の感想

未知の著者名と漠然とした書名とに不安を抱きながらも頁を繰ると、
明晰な論述と、抑制されつつも力強いメッセージ性とに驚かされた。
新書としての一つのお手本といってもいい高い実用性を備えている。

世界的貧困という言葉はまだ日本語としてなじみが薄いが、近年さかんに
論じられているグローバル・ジャスティス(世界正義、国際正義などともいう)論
の中心的テーマである。

本書では倫理学の観点から、この世界的貧困の問題を積極的に受け止める
6つ(ないし7つ)の立場が紹介される。

たくさんの飢えた人々が日々、いとも簡単に命を落としていく現実がある。
それを留保なく肯定する人は少ないだろう。しかしだからといって、
慈善行為を越えて、彼らを救わねばならない義務があるのだろうか。

仮にその義務があるとしても、誰が、どの程度までそれを負うのか。
こうして素朴な道徳的直観は高度な倫理学的問題に突き当たる。

議論の主たる対象はピーター・シンガー(功利主義)、オノラ・オニール
(カント主義)、トマス・ポッゲ(消極的義務論)、ジョン・ロールズ(正義論)、
ヘンリー・シュー(基本権)、センとヌスバウム(ケイパビリティ・アプローチ)、
ジェニー・エドキンス(ポストモダニズム)である。

各章とも、まずそれぞれの立場のエッセンスが再構成され、次にそれに
対する批判の紹介、そして最後に短いコメントが付けられる。まるで
試験答案の模範解答例のように整理されていて、大変分かりやすい。

特にオニールやシューのように、邦訳のない論者を紹介することは有益だろう。
少なくとも評者には大きな助けとなった。

本書の対象が英語圏の議論に限定されているのは少し残念だが、
それも新書としては止むを得ない。世界的貧困の問題に少しでも
関心があるならば、援助に懐疑的な立場の方も含めて、一読を薦めたい。

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