ロラン・バルト 喪の日記 の感想

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タイトルロラン・バルト 喪の日記
発売日販売日未定
製作者ロラン・バルト
販売元みすず書房
JANコード9784622075028
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 日記・書簡 » フランス文学

購入者の感想

 バルトの遺品の中から出てきた、母の死に関するまとまった量のカードは、長い間未公開だったが、2009年にさまざまな議論の末、刊行された。その翻訳本。
 かつて「恋愛のディスクール」を夢中になって、何度も繰り返し読んだ。その頃、恋愛をしていたから。今、この本を何度も読み返す。親しい人を失い、かつ、その人の死で深く苦しみ続けている人が身近にいるから。
 明け方に目覚めては、かつて病に苦しんでいた母の「やっと夜が明けたのね」という言葉を思い出し、喪の悲しみを周囲の人間が推し量ろうとかるのを疎ましく思い、母の死後、初めてひとりで過ごす夜、初めての日曜日、そして菓子屋の店員の「ほらね」という一言で思い出す母の口癖。「帰ったよ」と言う相手のいなくなったこと、街路やカフェにいる人々が「死を前にした姿」でいるように見え、彼らが「そのことを知らない」ように見える感覚。母の好きだった音楽を思い出し、旅行に出ては、母のいない家に早く帰りたいと思ってしまう(母の日常の家事のやり方などをそのままに繰り返しているから)。
 やがて少しずつ、また「書く」ことに戻って行くまでの心情が、時に生々しく、時にプルーストの母の死のイメージなどを絡めながら綴られる。
 このあとに「明るい部屋」が書かれるわけだが、バルトの遺品には小説「新しい生」のメモもA4サイズの紙7枚残っているそう。早すぎる交通事故死が惜しまれる。

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