霧のむこうに住みたい (河出文庫) の感想

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参照データ

タイトル霧のむこうに住みたい (河出文庫)
発売日販売日未定
製作者須賀 敦子
販売元河出書房新社
JANコード9784309413129
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » さ行の著者

購入者の感想

このひとの随筆を読んでいると、心の波がしずまる。
読みながら顔を上げると、見なれた風景も、粒子がこまかくなったように感じられる。

「霧のむこうに住みたい」は、この本が刊行された2003年当時、単行本に収録されていなかった文章を集めた随筆集。解説は江國香織。
こんなにすばらしい、宝物のような作品たちを、とりこぼされすことなく、きちんとすくい上げてくださってありがとうございます、と編集者の方にお礼を言いたくなるような一冊だ。

たとえば「白い本棚」と題された、三ページあまりの短い文章。
「本ばかりのその部屋に白木のままの本棚があった。」ではじまる第一段落と、
「夫が死んで二年ほど経ち、」とつづけられる第二段落。
そのあいだ、ほんの数ミリの行間にどれほどの思いがあるか、須賀さんはいっさい語らない。
語らないために、読者であるわたしたちの胸はいっそうざわめく。
本棚を半分こしてよろこんだ数カ月後、若い夫が突然亡くなってから、ああ本棚を白く塗ろうと思いたつまでの長い時間、その心の動きに思いをはせずにはいられない。

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