輝ける闇 (新潮文庫) の感想
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参照データ
タイトル | 輝ける闇 (新潮文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 開高 健 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101128092 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » 文学・評論 |
購入者の感想
作者自身が従軍記者としてベトナムに行き、200人の小隊のなかで彼を含めて17人しか生き残れなかったという経験を軸に書かれた大作。日本の小説にはいわゆる「私小説」というスタイルがあるが、本作はそうした形で書かれた作品としてはもっとも強烈なものではないか。80年代にアメリカがベトナムを素材にした映画をいくつも作ったが、そうした映像よりも何よりも強烈な印象があります。開高氏のような戦中派というか幼少時代に戦争を経験した世代には「生と死」というものが非常に重い。作家はベトナムだけでなく、アイヒマン裁判、ビアフラなどなど世界中の戦争、生と死、それを起こした人を追いかけている。経験しなければ語れないというのであれば、彼の経験の昇華と言える本作は、いよいよ重いと言えるのである。名作である。。
開高氏はこれと「夏の闇」以降は釣り、食、といった一見エピキュリアンな方向へと対象がシフトしていくように見える。上記のような極限状態を経験すれば、そうなっていくこともまた納得なのである。純文学作家としての開高というのがあまり語られないのはなぜだろう。語れる人がいないのではあるまいか?今の文学界に。そう思わずにはいられない。
開高氏はこれと「夏の闇」以降は釣り、食、といった一見エピキュリアンな方向へと対象がシフトしていくように見える。上記のような極限状態を経験すれば、そうなっていくこともまた納得なのである。純文学作家としての開高というのがあまり語られないのはなぜだろう。語れる人がいないのではあるまいか?今の文学界に。そう思わずにはいられない。