文盲: アゴタ・クリストフ自伝 (白水Uブックス) の感想
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参照データ
タイトル | 文盲: アゴタ・クリストフ自伝 (白水Uブックス) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | アゴタ クリストフ |
販売元 | 白水社 |
JANコード | 9784560071953 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » その他の外国文学 |
購入者の感想
彼女の作品と同様、現在形の端的な言葉で語られた90ページたらずの自伝ですが、
その愛想とは無縁のあまりにもの簡素な言葉のひとつひとつに凝縮された孤独や悲しみや
自己のアイデンティティとの葛藤がひしひしと伝わります。
フィクションであるはずの「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」は、限りなくノンフィクションに近く、
著者の体験がベースになっていることが解ります。
9歳でドイツ語を、11歳で今度はロシア語を学ぶことを押し付けられ、大人になって命がけで亡命したスイスのフランス語圏、
とめまぐるしく母語ではない言葉を習得する必要に迫られた著者は、ハンガリー人であるという”自己のアイデンティティとの葛藤”
という意味でフランス語を”敵語”と呼びました。言語を学ぶことは自由であるからこそ楽しいのであって、
それを強いられる時、それはアイデンティティの剥奪と同じ意味を持つのでしょう。
最後に、著者の作品の殆どの日本語訳をされた堀茂樹さんの訳と解説は素晴らしいと思います。
他の作品もそうでしたが、A.クリストフの原作が100%なら彼の解説で120%になるといった具合です。
彼のA.クリストフ作品への愛情と情熱が伝わってきます。
その愛想とは無縁のあまりにもの簡素な言葉のひとつひとつに凝縮された孤独や悲しみや
自己のアイデンティティとの葛藤がひしひしと伝わります。
フィクションであるはずの「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」は、限りなくノンフィクションに近く、
著者の体験がベースになっていることが解ります。
9歳でドイツ語を、11歳で今度はロシア語を学ぶことを押し付けられ、大人になって命がけで亡命したスイスのフランス語圏、
とめまぐるしく母語ではない言葉を習得する必要に迫られた著者は、ハンガリー人であるという”自己のアイデンティティとの葛藤”
という意味でフランス語を”敵語”と呼びました。言語を学ぶことは自由であるからこそ楽しいのであって、
それを強いられる時、それはアイデンティティの剥奪と同じ意味を持つのでしょう。
最後に、著者の作品の殆どの日本語訳をされた堀茂樹さんの訳と解説は素晴らしいと思います。
他の作品もそうでしたが、A.クリストフの原作が100%なら彼の解説で120%になるといった具合です。
彼のA.クリストフ作品への愛情と情熱が伝わってきます。
何の前知識も無く、書店で題名が気になり手に取り購入。大当たりでした。
この本を読んで、他のアゴタクリストフも読みたくなり、すべて読みました。
現在形で書かれた短い文章が積み重ねられ、不思議な世界に引きずり込まれます。
すぐに読めてしまいますが、また何度も読み返してしまいます。
悪道日記や二人の秘密などと一緒に読むと、他の小説が深みを増すように思います。
この本を読んで、他のアゴタクリストフも読みたくなり、すべて読みました。
現在形で書かれた短い文章が積み重ねられ、不思議な世界に引きずり込まれます。
すぐに読めてしまいますが、また何度も読み返してしまいます。
悪道日記や二人の秘密などと一緒に読むと、他の小説が深みを増すように思います。