これを語りて日本人を戦慄せしめよ: 柳田国男が言いたかったこと (新潮選書) の感想

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タイトルこれを語りて日本人を戦慄せしめよ: 柳田国男が言いたかったこと (新潮選書)
発売日販売日未定
製作者山折 哲雄
販売元新潮社
JANコード9784106037436
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 » 文化人類学一般

購入者の感想

著名な宗教学者による最新の柳田国男論です。

題名は他のレビューにあるように『遠野物語』の序文に由来します;
「国内の山村にして遠野よりさらに物深き所にはまた無数の山神山人の伝説あるべし。願わくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ。」
・・・文中の「平地人」を「日本人」に置き換えたのですね。正直云ってそのセンス、今ひとつかな(苦笑)。

「今から十年ほど前に定年を迎えたとき、・・・これからは長谷川伸と柳田国男を読んで暮らそうと思うといった。ふと口をついて出た言葉だったが、じつをいえばかなりいぜんから考え続けていることではあった。」
という序文に引かれました。
私も老後は里山に抱かれた土地で柳田国男の思考世界にどっぷりと浸りたいと常々思っていたからです。

柳田国男と折口信夫の複雑な師弟関係、研究の方向性の違いに関する記述は意外であり、またふむふむと頷きながら読みました。
柳田の普遍化志向 vs 折口の始原化志向
柳田の童子 vs 折口の翁
柳田の自然還元 vs折口の不可思議還元・・・
などと対比して論じる視点が見事です。
柳田は学問を目指し、折口はファンタジーの世界へ迷宮入りした、とも云えるかもしれません。

民俗学とは、名もなき祖先たちの影を追い、日本の自然に抱かれた生活に想いを馳せることだと勝手に捉えています。
お寺より神社に惹かれる私にとって、柳田国男の「仏教の影響を受けていない日本の姿を抽出して明らかにし後世へ残そう」という心意気が魅力的です。
「斜陽化した民俗学」と揶揄していますが、別にそれでもいいんです。

最近、TVでも日本の伝統、自然を扱う番組が増えてきました。
外国かぶれに疲れ、自国の魅力を再認識する時代に変わりつつあるのでしょうか。

読み進める中、内容に共感できる箇所が多々ある一方で、著者の推察~空想の域を出ない記述が多いことが気になりました。
空想の翼はとどまるところを知らず、あちこちにワープします。
いきなりガンジーが出てきた箇所には驚きというか、半分呆れてしまいました。

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