近代秀歌 (岩波新書) の感想

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タイトル近代秀歌 (岩波新書)
発売日販売日未定
製作者永田 和宏
販売元岩波書店
JANコード9784004314073
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 詩歌 » 詩論

購入者の感想

本書は明治から昭和にかけての日本の代表的な短歌100首を選んで解説したものです。

ここで取り上げられた100首は「日本人ならせめてこれくらいは知っておいて欲しいぎりぎりの100首」との基準で選ばれています。それぞれの歌のつくられた背景や歌人についての説明が加えられていますが、この説明がとてもわかりやすく、興味深い内容です。歌はそのままの状態で味わうべきですが、詠まれた背景を知るとより深い鑑賞が可能になるとの著者の指摘がよく理解できます。

100首の内訳を歌人別にみると、斉藤茂吉11首、与謝野晶子9首、石川啄木9首、若山牧水8首、土屋文明6首、北原白秋6首などが目立ちます。収録歌と同じ場面で詠まれた歌もあわせて紹介されていますから、結局200首以上の歌が取り上げられています。コンパクトな体裁ではありますが、その凝縮された内容の濃さに驚きます。何しろ明治以来の100余年の歌の歴史をこの1冊で俯瞰することができるのですから。

著者・永田和宏氏は朝日新聞歌壇選者、宮中歌会始詠進者であり、数々の受賞暦を持つ現代短歌の第一人者です(同時に高名な細胞学者でもあります)。「はじめに」で著者が高校生の時の国語教師が近代短歌100首あまりをプリントにして配ってくれたのがきっかけで短歌の魅力にとりつかれたと回想されています。恩師への感謝の念とそれに倣いたいとの思いが本書の執筆動機であることに感動しました。また文中に亡き妻であり優れた歌人であった河野裕子さんについて触れた箇所があり、心打たれました。

広く多くの日本人に読まれ、親しまれるべき名著として本書を推します。

タイトルには「秀歌」とありますが、「国民歌」と言った方が、よりふさわしいかと思います。

すなわち、本書には、日本人として最低限知っておくべきものかどうか、という観点から選んだ100首が紹介されています。

私は、俳句や短歌などを口ずさみながら体を動かす「俳句体操」をやっているのですが、実際口に出してみて、著者のセレクトに納得しました。感性に強く響くものがあります。

消耗品的な新書とは対極にある、「知の基盤」となる一冊だと思います。

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