日本、遥かなり エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」 の感想

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エルトゥールル号遭難事件とテヘランからの邦人救出の話は、
本当に胸を打つ話です。
時も国も民族も宗教も越えて、危機にある人々を救う。
その話がどう深掘りされ、描かれているか、楽しみに手に取りました。
この本は、もちろんノンフィクションですから、すべて実話ですが、
それだけ余計にハラハラし、そして目頭が熱くなりました。
あの「恩返し」の陰に、こんなに多くのエピソードがあったなんて、
まったく知りませんでした。
とりわけ、トルコ航空に救われた日本人と、
トルコ航空の乗務員たちが、後年になって出会うシーンは、
あまりに圧倒的で、
トルコ航空の方々の言葉に、読んでいる私も茫然としました。
これが「事実」ということが、本当に信じられぬほどです。

さらにこの本は、イラン・イラク戦争だけに留まらず、
湾岸戦争、イエメン内戦、リビア動乱で危機に陥った人々の
話も詳しく取材していきます。
イランイラク戦争当時の部分もそうでしたが、
これほどの数の当事者にインタビューをしていることに、
本当に驚かされます。
ここに描かれるのは、窮地に追い込まれたときの人間心理。焦燥と絶望。
そして、そこに希望の光を投げかける人と人の絆。友情と感謝。。。
ここに登場する日本人は、きっと普通の人たちなのでしょうが、
その家族愛、勇気、胆力は本当に凄い。
日本人の素晴らしさに触れる、貴重な逸話を知ることができて、
本当によかったです。

そして、これだけ怒濤の実話を知りえた後だからこそ、
最後に紹介される日本の現状が胸をつきます。
あまりの緊迫の場面の連続に、手に汗を握りながら一気に読みましたが、
心に奥に、大切な気づきが残る一冊でした。