Inherent Vice の感想

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1970年代の初頭を舞台に、私立探偵が元ガールフレンドの依頼や、ミュージシャンの死追っていくうちに、LA警察や黄金の牙なる闇の組織を巻き込んだ陰謀に巻き込まれていく・・・などと書いてしまうと、安い探偵小説やアクション映画のようですが、実際は同作者の過去の作品と同様、何層もの物語や登場人物が入り組んだかなり複雑な話となっています。
このような物語としての結末もあり、そちらも大変スリリングで面白いのですが、全体を通し当時の世相、ニクソンの登場やチャールズ・マンソンの逮捕により厳しくなっていく社会、ヒッピー文化の終焉が克明に描かれており、（実際に当時のLA周辺にあった）インターネットのひな型のようなものも登場して、象徴的に、時代・アメリカ社会の変化が描かれており、考えさせられます。
かなり手ごたえのある本ですが、一読の価値はあるでしょう。