最終講義 生き延びるための七講 (文春文庫) の感想

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タイトル最終講義 生き延びるための七講 (文春文庫)
発売日2015-07-03
製作者内田 樹
販売元文藝春秋
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カテゴリジャンル別 » ノンフィクション » 思想・社会 » 思想

購入者の感想

内田樹氏の講演を集めたもので、とても読みやすく、わかりやすかった。

7つの講演内容であるが、現在の日本の大学教育がどうしてダメになったのかがよくわかった。
教育の成果主義が学校を株式会社化させてしまったからだ。生徒はお客様。自分がバカなくせに先生の授業が理解できなければクレームを出す。両親もクレーマーとなる。
学生は「何のために勉強するのか」と学問が何の役に立つのかいつも気にする。実用価値のないものはやるだけムダという成果主義の弊害である。
大学の先生は先生で弟子に自らの専門を伝授するというよりも、自分の専門をよりわかりにくい学問にし、他の人たちが理解できないようにわざとしている。確かに言語学における生成文法などはわざと難しくしており、「作者」のチョムスキー自身、その著作の中で「生成文法は難解であるがゆえに博士論文のテーマにはしない方がよい」と言っている。しかし教員の義務は世に自分の専門をわかりやすく理解させ、多くの人の知的レベルをアップさせることであろう。

また「アメリカは北方領土に干渉をしたがらない。それをするとロシアがアメリカに沖縄を返還しろと迫るから」「レヴィナスがフッサールに会った時、フッサールは哲学者としては終わっていると思ったこと」「日本人は案外とユダヤに関心があるが、ユダヤ人は日本についてほとんど関心がない」などなどと面白いことが書いてあった。

文庫版付録の「共生する作法」はまさに日本の危機的状況を鋭く分析している。特に安倍政権の国益ではなく、個人の利益優先の姿勢はまさにそのとおりであろう。特に多くの人にこの部分は読んでもらいたい。

株式会社化した日本、サラリーマン化したこの国の指導者たち。その行き着く先はアメリカ同様の弱肉強食の無情な世界。
日本はこのままどうなるやら。
日本の将来について「共生する作法」を読んで、よく考えて欲しい。

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