法における常識 (岩波文庫) の感想
174 人が閲覧しました
参照データ
タイトル | 法における常識 (岩波文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | P.G. ヴィノグラドフ |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784003401712 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 法律 » 法学 |
購入者の感想
法は我々の「常識」が基礎になっており、それゆえによくよく考えればそれがいかなるものかは誰でも理解できる。法律学の技術的側面ではなく、このような基礎的考え方、法というものへのアプローチの仕方を丁寧に解き明かしてくれる好著である。
著者の専門は法制史である。この分野の大家であった著者ならではの視点が本書には満ち溢れている。モンテスキューがゲルマン法の詳細な研究をもとに、かの名著『法の精神』を著したことからも分かるように、法とはいかなるものかを知るためには、その歴史に踏み入れることは極めて有用である。本書を読むことで、法についての考え方のみならず、その歴史的背景をも理解することができるだろう。
本書の主な対象はイギリスの読者であるため、イギリスの判例法(common law)が念頭に置かれており、裁判官がどのような考慮のもとで法を適用するかの視点が中心である。これはそのまま日本の裁判や法に適用することはできないことには注意を要するが、しかし、日本や独仏等が属する大陸法と英米系の判例法は通訳不可能なものではない。本書の理解は日本法の理解にも寄与するだろう。
訳注が充実しており、また著者の評伝もついており、初学者でも十分本書の魅力を堪能できる。しかし、一度法学を学んだ者が読んでも得られるものは大きいだろう。法に興味ある全ての者に本書を推薦する。0
著者の専門は法制史である。この分野の大家であった著者ならではの視点が本書には満ち溢れている。モンテスキューがゲルマン法の詳細な研究をもとに、かの名著『法の精神』を著したことからも分かるように、法とはいかなるものかを知るためには、その歴史に踏み入れることは極めて有用である。本書を読むことで、法についての考え方のみならず、その歴史的背景をも理解することができるだろう。
本書の主な対象はイギリスの読者であるため、イギリスの判例法(common law)が念頭に置かれており、裁判官がどのような考慮のもとで法を適用するかの視点が中心である。これはそのまま日本の裁判や法に適用することはできないことには注意を要するが、しかし、日本や独仏等が属する大陸法と英米系の判例法は通訳不可能なものではない。本書の理解は日本法の理解にも寄与するだろう。
訳注が充実しており、また著者の評伝もついており、初学者でも十分本書の魅力を堪能できる。しかし、一度法学を学んだ者が読んでも得られるものは大きいだろう。法に興味ある全ての者に本書を推薦する。0