日本の歴史〈9〉南北朝の動乱 (中公文庫) の感想

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タイトル日本の歴史〈9〉南北朝の動乱 (中公文庫)
発売日販売日未定
製作者佐藤 進一
販売元中央公論新社
JANコード9784122044814
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 全集・選書

購入者の感想

発行年は古いが、目配り良く、説得力のある本だった。
発行年代が古いため、それ以後に進んだ資料、研究による訂正、解釈の変遷はあるだろう。
しかし、それを補って余りある構成、論考、そして文章の読みやすさ、気品さえある。
出会えて良かった本だった。

中世期の白眉とも言われており、単行本でありながら現在でも南北朝期-室町時代の研究に於いて重要な基礎文献として色あせない書籍である。
冒頭より、戦前の南北朝研究の問題に触れ、大義名分論による歪んだ解釈と平泉澄による国家主義的な南朝正当論の批判を行う。その際に、「田中義成に戻れ!」と大正時代に刊行された南北朝時代史に書かれた学問としての室町時代こそ需要であると述べる。
後醍醐天皇による討幕運動の終焉と、建武新政からはじまるものの、貴族たち保守層を無視した政策や、足利尊氏による反逆など、離合集散によるカオス化する建武新政が崩壊する様を後醍醐天皇の特異性や、当時の武士倫理など複眼的な原因より後醍醐新政の批判を行う。又、京極佐々木などばさらによる悪党達の活動が、当時の貴族達権威の失墜を表したりしてるが、政治力を失っただけではなく矜持すら無くした貴族達が崩壊したのも自業自得とする佐藤の批判は手厳しい。

既に、評者の人生以上に時間が経過している本とは思えない。他の評者が語るように、優秀な研究は未だに色あせない。学問とはかくあるべきであろう。0

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中央公論新社から発売された佐藤 進一の日本の歴史〈9〉南北朝の動乱 (中公文庫)(JAN:9784122044814)の感想と評価
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