現代マクロ経済学講義―動学的一般均衡モデル入門 の感想
230 人が閲覧しました
参照データ
タイトル | 現代マクロ経済学講義―動学的一般均衡モデル入門 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 加藤 涼 |
販売元 | 東洋経済新報社 |
JANコード | 9784492313701 |
カテゴリ | ビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 経済学 » マクロ経済学 |
購入者の感想
本書に好意的なレビューが多く、
びっくりしましたので、
老婆心ながら水を差させていただきます。
本書は動学的一般均衡(DGE)モデル入門と
銘打っておきながら、
DGEモデルの仕組みについては
ほとんど記述がなく、
ページの多くはその応用モデルの
政策的含意に割かれています。
言い換えれば、
本書を読んでもDGEモデルがどのようなものなのかは
ほとんどわからないのです;
また、応用モデルの記述についても、
DGEについてある程度知っているか、
イメージを持っていないと、
理解しづらいものとなっています。
そのため、本書を本当に理解できるのは、
すでにDGEについてちゃんとした
教育を受けている人間くらいでしょう。
ローマーの『上級マクロ経済学』の、
実務家視点から書かれた副読本といったところが
本書の妥当なポジションだと思いますので、
DGEの教科書としては使えません。
学部上級レベルのDGEの教科書としては、
応用についてはまったく触れられておらず抽象的なのですが、
林貴志『マクロ経済学―動学的一般均衡理論入門』
のほうが基本的な仕組みに詳しいのでお勧めします。
また林貴志に続いて、西村・矢野の『マクロ経済動学』の
90ページまでを読めば、非確率的なDGEの
数学的な仕組みがなんとなくはわかるでしょう。
確率的なDGEについてのわかりやすい本は知る限りありませんw
2014/08追記
上記のようなことを以前に書きましたが、
林貴志や西村・矢野は理論系によっており、
応用を主眼とした一般均衡動学の教科書もかなり増えてきているので追記。
非確率的なDGEによる成長論としては、学部レベルでは、
二神孝一『動学マクロ経済学』が名著でしょう。
院レベルでは、
Daron
びっくりしましたので、
老婆心ながら水を差させていただきます。
本書は動学的一般均衡(DGE)モデル入門と
銘打っておきながら、
DGEモデルの仕組みについては
ほとんど記述がなく、
ページの多くはその応用モデルの
政策的含意に割かれています。
言い換えれば、
本書を読んでもDGEモデルがどのようなものなのかは
ほとんどわからないのです;
また、応用モデルの記述についても、
DGEについてある程度知っているか、
イメージを持っていないと、
理解しづらいものとなっています。
そのため、本書を本当に理解できるのは、
すでにDGEについてちゃんとした
教育を受けている人間くらいでしょう。
ローマーの『上級マクロ経済学』の、
実務家視点から書かれた副読本といったところが
本書の妥当なポジションだと思いますので、
DGEの教科書としては使えません。
学部上級レベルのDGEの教科書としては、
応用についてはまったく触れられておらず抽象的なのですが、
林貴志『マクロ経済学―動学的一般均衡理論入門』
のほうが基本的な仕組みに詳しいのでお勧めします。
また林貴志に続いて、西村・矢野の『マクロ経済動学』の
90ページまでを読めば、非確率的なDGEの
数学的な仕組みがなんとなくはわかるでしょう。
確率的なDGEについてのわかりやすい本は知る限りありませんw
2014/08追記
上記のようなことを以前に書きましたが、
林貴志や西村・矢野は理論系によっており、
応用を主眼とした一般均衡動学の教科書もかなり増えてきているので追記。
非確率的なDGEによる成長論としては、学部レベルでは、
二神孝一『動学マクロ経済学』が名著でしょう。
院レベルでは、
Daron
現代マクロ経済学の主流は「動的一般均衡モデル(Dynamic General Equilibrium Models, 以下DGE)」です。
DGEに基づく論文は少なくとも以下の四つの要素を含んでいます。
1. 経済データに関する定型化された事実(stylized facts)
2. Dynamic Programmingなどの現代制御理論に基づくマクロ経済モデル(DGE)構築
3. 前記モデルの係数の特定化(Calibration)
4. 前記モデルによるシミュレーション
本書は上記の四要素をほぼ完全に網羅する(世界的に見ても貴重な)DGEの入門書です。
さらに、本書の特筆すべき点は「New Keynesianモデル=New IS-LM」に焦点が当てられている点です。
New IS-LMモデルは金融政策を論じるうえの現在の"general framework" (Mccallum (2001))です。
さらに本書は第7章に動学的最適化問題への入門やシミュレーション用プログラムについての解説を
加えるなど、初心者向けの配慮も十分にされています。
本書は「世界標準のマクロ経済学」を学ぶに最適なもののひとつと言えるでしょう。
(評者のように)筆者と少し意見の異なる人も少なくないと思いますが、そういった「小さな違い」を超えて
はじめてDGEを学ぶ方々に推薦したいと思います。0
DGEに基づく論文は少なくとも以下の四つの要素を含んでいます。
1. 経済データに関する定型化された事実(stylized facts)
2. Dynamic Programmingなどの現代制御理論に基づくマクロ経済モデル(DGE)構築
3. 前記モデルの係数の特定化(Calibration)
4. 前記モデルによるシミュレーション
本書は上記の四要素をほぼ完全に網羅する(世界的に見ても貴重な)DGEの入門書です。
さらに、本書の特筆すべき点は「New Keynesianモデル=New IS-LM」に焦点が当てられている点です。
New IS-LMモデルは金融政策を論じるうえの現在の"general framework" (Mccallum (2001))です。
さらに本書は第7章に動学的最適化問題への入門やシミュレーション用プログラムについての解説を
加えるなど、初心者向けの配慮も十分にされています。
本書は「世界標準のマクロ経済学」を学ぶに最適なもののひとつと言えるでしょう。
(評者のように)筆者と少し意見の異なる人も少なくないと思いますが、そういった「小さな違い」を超えて
はじめてDGEを学ぶ方々に推薦したいと思います。0