異国トーキョー漂流記 (集英社文庫) の感想

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タイトル異国トーキョー漂流記 (集英社文庫)
発売日販売日未定
製作者高野 秀行
販売元集英社
JANコード9784087477924
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

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購入者の感想

ある学者のお宅を訪問する機会があり、その人の本棚に高野秀行の『謎の独立国家ソマリランド』が刺さっているのを発見して、ああああ、面白い本だったなあと思い出して読み返したのではなくこの文庫を買った。ああああ、やっぱり面白い。この感性、文章、この人の書くもの好きだわと強く思った。

高野氏とは年代が同じである。田舎に住んでいたので外国人に会った最初の思い出は京都の観光客に父が話かけていたというもの。外国へのあこがれがあったのか、なぜかフィンランド人と文通していた。Minnaさんという名前だった。高校で交換留学でアメリカに行き、「本当に英語を話している人がいる」ととても当たり前なことに衝撃を受けた。ネイティブを相手に話したことのない英語なんて古語と変わらないわけで、それが「生きた言語である」ということに衝撃を受けたのだった。東京に出てきたときも「標準語を話している人がいる」ということに衝撃を受けたのは、それをテレビのニュースやドラマでしか聞いたことがなかったからである。

この本の冒頭に収められている「日本をインド化するフランス人」で、シルヴィが「ウィ」と言ったのを聞いて「おお、ウィと言っている!」と高野氏が感動する場面を読んで、そんなことを何十年かぶりに思い出した。バブル期にはヒッピー系やら金融系やらジャーナリスト系やらいろんな外国人が日本にいた。一時期なぜかイラン人が公園などでたむろしていたことがあったが、あれはどういう事情だったのかな。高野氏のように人とすぐに打ち解けられない自分でも、何人かは外国人の友達ができて、津軽三味線や古民家などはそのよさを彼らから教えてもらったような気がする。ホームステイしていたときのアメリカ人のホストシスターが日本に来たとき、一緒に京都や東京を観光し、祖母の家を訪ねたりするなかで見たのは慣れ親しんだ東京ではなくトーキョー、日本の田舎ではなく、ジャパニーズカントリーサイドという異境だった。

日本人というものは、得てして中学から英語を学んでいるのにもかかわらず、外国の方と出会うと、コンタクトをとりたいという願望はあるけれど敬遠してしまう傾向にあり、街や電車で出会った外国人に気軽に声をかけるのには相当の勇気が要るようです。
ところが、ネイティブの英会話レッスンを受けたことがあるとか、海外でちょっとした会話をしたことがあるということがきっかけで、少し話してみると少し自信がつくようです。
以前、欧米の方と会話していて、趣味の話で”SAYA”というフレーズを頻繁に使うので、どういった意味なのかずいぶん考え込んだのですが、実は”刀の鞘”を趣味でコレクションしているとのことでした。
日本人であればそういったコレクションをするのはレアであり、意外にも外国人を通じて、そういったコレクションを楽しむことを教えられたものでした。
本書は、そういった一般の日本人では稀にしか知ることができないことに外国人は関心を持っていたり、日本人以上に日本の層の深いところに通じていて、外国人に教えられてしまうというエピソードなのです。
それがニッポンに住んでいて、外国の方との交流を重ねていると、あたかもニッポンが異国のように感じられるとのことです。
高野さんの青春記ですが、このような角度で見たアプローチがユニークであり、話のネタとしてはおもしろいと思います。

第一章 日本をインド化するフランス人
第二章 コンゴより愛をこめて
第三章 スペイン人は「恋愛の自然消滅」を救えるか!?
第四章 開戦! 異国人バトルロワイヤル
第五章 百一人のウエキ系ペルー人
第六章 大連からやってきたどらえもん
第七章 アリー・マイ大富豪
第八章 トーキョー・ドームの暑い夜
待望の文庫書き下ろし。
作者の「タカノ」がトーキョーで会った外国人8名との交流記です。
登場する外国人のパーソナリティもユニークですが、作者のリアクションにも驚かされます。自分が当事者であっても3人称的な視点で考えて書いてしまう独特の面白さ、今回もかなり笑えます。作者は「国際人」なので、居心地の悪さを感じていても誰とでもつきあえるようだし、この本の底流には相手に対する一種の愛情(人類愛??)があふれていて読後、大変爽やかです。
探検のため習ったリンガラ語、フランス語、スペイン語、アラビア語、中国語の先生やその子息や兄弟、あるいは視覚障害者の野球好きの人などなど、日本に来た色々な外国人が作者と交流。それによって作者の視点も移動し「東京」が「トーキョー」に変化しているのに気がつくのですが、そういう難しいことを抜きにしても楽しめるのが本書です。
私は日本と国交のない国がアフリカにもあり、そこから優秀な留学生が来ているというのが驚きでした。
視覚障害者の野球好きの人に、野球ボールを触らせたいと言う「タカノ」。
探検家は語学に強く、そして優しい人なのです。0

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集英社から発売された高野 秀行の異国トーキョー漂流記 (集英社文庫)(JAN:9784087477924)の感想と評価
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