古代インドの思想: 自然・文明・宗教 (ちくま新書) の感想

208 人が閲覧しました
アマゾンで購入する

参照データ

タイトル古代インドの思想: 自然・文明・宗教 (ちくま新書)
発売日販売日未定
製作者山下 博司
販売元筑摩書房
JANコード9784480068026
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 東洋思想 » 東洋哲学入門

購入者の感想

これまでのインド思想の本は、私たちの常識や生活感とかけ離れた専門用語であふれ、興味はあってもなかなか近寄れる世界ではなかったような気がする。その点、この本は誰にとっても身近な天候や気候の話をもとに、古代を生きた人間たちの観念や思考の動きが実感をもって伝わってくる。われわれ人類は未曾有の異常気象と闘いつつある。そんな今、古代インドの話を通り越して、自然と人間、自然と文化、自然と宗教など普遍的な諸問題について、あれこれ考えさせてくれる。本書は文章も読みやすく、難しい用語もなく、知らず知らずのうちにインド文化の本質にいざなってくれる良書である。

南アジア・インド文明圏の基層的な宗教/思想の展開を、自然環境との関係から説明する本である。「個」を超えた「全体」「絶対的存在」に対する強い意識、の背後にある日常世界を越えた範囲に大きく広がる景観、思想・文化の多様性を導く、「砂漠的なもの」と「森林的なもの」との並存、自然への畏敬と連帯の態度を涵養する、沃土と豊かな植物が生育する森林環境、一方で「無為」に価値を見出させる、厳しい暑さと乾きの大地、あるいはインダス文明に流通する「水の聖性」、生滅を繰り返す生命と人間存在の呼応、等々――自然が文化をつくり、その文化のなかで自然を内包した宗教や思想が生まれてくることの実態と意味が、明確でときに文学性あふれる文章によって論じられている。
こうした風土において、世界宗教史上の重要な存在である、ヴェーダの神々、ウパニシャッド哲学、ジャイナ教、そして仏教が発生してくる過程が順々に描かれており、それぞれの宗教(思想)に対する新鮮な理解を得ることができる。インド思想の根源について学びながら、広く人間と自然との関係の中から生成してくる思想や精神世界の特質に対する知的好奇心を掻き立てられる一冊である。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

古代インドの思想: 自然・文明・宗教 (ちくま新書) を買う

アマゾンで購入する
筑摩書房から発売された山下 博司の古代インドの思想: 自然・文明・宗教 (ちくま新書)(JAN:9784480068026)の感想と評価
2018 - copyright© アマゾン通販の感想と評価 all rights reserved.