スロウハイツの神様(下) (講談社文庫) の感想

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参照データ

タイトルスロウハイツの神様(下) (講談社文庫)
発売日販売日未定
製作者辻村 深月
販売元講談社
JANコード9784062765572
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

購入者の感想

日頃からたくさんの作家の本を読み、今まで幾つもの感動を作家から頂いたのですが
このスロウハイツの神様、その読後感は今までよりも飛びぬけて新鮮でした。

この本を手に取った元はと言えば、直木賞を取った作家ということに加えて
兼ねてから知人に勧められていたというのが一番の要因です。

この本をジャンルに分類するなら───青春、恋愛、コメディ
どれも正しいのだろうけど、どれも正しくないような気がします。

かの有名な手塚治虫の持つ逸話として有名なトキワ荘をモチーフとして
脚本家、映画監督、漫画家、小説家、画家といった作家の卵たちが1つのスロウハイツと呼ばれる
ボロいアパートでの生活を描いた物語です。

普段こういったレビューをしたことがないので畏まって言葉にしてみると上手くいきませんね。

特に僕が印象に残ったのは、この作家は非常に起承転結の起が上手だなぁと思ったことです。
伏線の張り方がとても上手であるのももちろんそうですし、話の転換後の切り出し方や視点の入れ替え
そのようなものが頻繁に行われたのにもかかわらず物語に遅れることなくついていくことができました。

女性ということで恋愛という要素がわりとたくさん入っていましたが特に気になりませんでした。
文章も透明感があってスラスラと読みやすく、かなり考えて(当たり前のことですが)文章を作っているなぁと読み手まで伝わってきました。

先ほども言ったように、この本を読んだ後不思議な感覚に陥りました。
僕には今年大学受験が控えています。
そんな時期に何のんきに本を読んでいるんだ、と親に怒られながらページをめくる手がとまりませんでした。

物語の中の登場人物達は物語の始まった瞬間から失速することなく物語の最後、エピローグまで
その熱い創作意欲を少しも落とすことなく駆け抜けていました。

すげぇ、かっこいいな。
この物語をいつまでも見ていたい、そんな気持ちで満たされました。

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