幕が上がる (講談社文庫) の感想

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タイトル幕が上がる (講談社文庫)
発売日2014-12-12
製作者平田 オリザ
販売元講談社
JANコード9784062930017
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » は行の著者

購入者の感想

高校演劇をテーマにした青春小説。

主人公の女の子は演劇部の作・演出として弱小高校だった部を地区大会、県大会とコマを進めるべく奮闘していく。

高校演劇というモチーフが珍しいという点、そして日本を牽引する演劇人によって書かれているという点で、高校演劇に関わる人にとっては必読といえるかもしれない。

学生の課外活動をモチーフとした青春物語としては、もしドラやスウィング・ガールズ、ウォーターボーイズ、フラガールなど様々なものがあるが、高校演劇もまた格好のモチーフではないかと思う。

本作では宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を、部員たちの個性に合わせてアレンジしたものを大会で披露するが、平田オリザ氏の主宰する青年団でも実際に『銀河鉄道の夜』をアレンジしたものが上演されている。

実際に僕はそのお芝居を観劇したので、そのときのお芝居を追想し、またその演出意図を再認識する意味でも楽しむことができた。

高校演劇に触れて来なかった大人にとっても、自分にもこういう青春の一面がありえたかもしれないと、思いを馳せることができるのではないか。

また一しがない演劇人として、エチュード、戯曲論、演出論、チームのマネジメント方法など参考になる一方、まだ希望に満ち溢れた登場人物たちを羨ましく思ってしまう。

是非、一回り大人になった彼女たちのよりシビアな演劇奮闘記の続編を出して頂ければ読んでみたい。

 新任の先生と転校生。

ふたりの登場によって、さおりたち演劇部員を乗せた汽車は、乳白色の路を走り出した。

 「これはまるで『演劇修行』、それでいて青春小説」という、俳優・堺雅人の推薦文に、いつわりはない。

 演劇は、「リアルとフィクションの境目」だと言う顧問の言葉。

 演技とは、相手がキャッチしてくれると信じて、ぎりぎりのところにパスを出すこと、と部長のさおり。

 豹が獲物を狙うがごとく、母が遊ぶ我が子を見守るがごとく、舞台袖に立つ部員。

 これは、おなじく著者の近著、「わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か」の実写版と言ってよいかも知れない。

 演劇とは、バラバラな人間が、バラバラでありながら、いくらかでも理解しあっていくこと、と顧問は良く口にし、わたしたちは、どこまでも行けるけど、それゆえに、どこにもたどり着けないから、不安であり、それこそが現実だ、とさおりは気づき、さおりは顧問のことを許さないけど、恨まない、憎まないと言う。

 最後の三十頁。電車の中なのに、こみあげてきた。

 マスクをしていたから、泣かない自分を演じることができた。

 演出担当の高橋が主人公。

 演劇にどんどんのめり込んでいくのが良いですな〜
「はじめて夢中になれるものが見つかった!」って感動が
じかに伝わってきて、おじさんの私は清い涙を流しました(^^)

 演劇の演出ってこうやるんだ〜
ってのも分かって興味深かった!
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をネタに演ずるんだけど、
宮沢賢治が相対性理論や最新の宇宙論に興味を持っていた事を知り、
それを演出に使うところなんぞはまさに圧巻でした。

 大筋としては元「学生演劇の女王」の吉岡先生に目を開かされ、
演劇の世界へ導かれて行くというところなんだろうけれど、

最後は、吉岡先生がフェードアウトして行って、
成長した高橋が劇を完成させていきます。

だからこの物語は面白いんだろうな、と思いました。

やっぱり、最後はみずからの力でつかまなければね。

最後まで先生に導かれて目的達成したのなら、これほどの感動は無かったと思うな〜〜

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