本日は、お日柄もよく (徳間文庫) の感想
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参照データ
タイトル | 本日は、お日柄もよく (徳間文庫) |
発売日 | 2013-06-07 |
製作者 | 原田マハ |
販売元 | 徳間書店 |
JANコード | 9784198937065 |
カテゴリ | 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » は行の著者 |
購入者の感想
ひょんなことからスピーチライターを目指す、ごくごく平凡なのOLの話。
さまざまな場面でのスピーチを挟み込みながら、主人公の成長がテンポよく描かれている。
スピーチの言葉も、登場人物たちのセリフも練られていて、ああ、いい言葉だなあ、と思えるものがいくつもある。
しかし、私の心にはなぜか響かなかった。
それらの言葉が小説に根をおろしていないように思えてしまった。
その原因の一つが、この小説に描かれている政治的なエピソードだろう。
巻末には実在する団体とは関係ないと書かれてはいるが、どうしたって政権交代をめぐる二つの政党をイメージせずにはいられない団体が登場する。
小説の中で高らかに「政権交代」を訴えれば訴えるほど、現実に政権交代してからのニュースが頭をちらちらとよぎり、むなしさに襲われ、小説の中の高揚感と気持ちが寄り添えないのだ。
(これは原田さんのせいではないけれど、でも、できればもっと、現実とは違う設定だったら、と思ってしまった)
また、与党の存在自体や政策を、打倒すべき「悪」として描くのは、あまりにも単純化されすぎではないだろうか。郵政民営化とか後期高齢者医療制度とか、問題はあるかもしれないが、ベターな方法を探る中で決められたこと。現実の難しさを一切無視して、イメージだけで、「悪」として扱っている気がしてしまった。
雰囲気だけで片付けず、きちんと調べたうえで描いてほしかった。
よくできている話だなあ、よくできたスピーチだなあ、と終始、遠くから眺めるように、冷静に最後まで読みとおしてしまったことが本当に残念。平凡な主人公が、偉大なお師匠さんに才能を見いだされ、ライバルと力を尽くして戦うという、少年漫画のような王道ストーリーは楽しく読んだのだが。
さまざまな場面でのスピーチを挟み込みながら、主人公の成長がテンポよく描かれている。
スピーチの言葉も、登場人物たちのセリフも練られていて、ああ、いい言葉だなあ、と思えるものがいくつもある。
しかし、私の心にはなぜか響かなかった。
それらの言葉が小説に根をおろしていないように思えてしまった。
その原因の一つが、この小説に描かれている政治的なエピソードだろう。
巻末には実在する団体とは関係ないと書かれてはいるが、どうしたって政権交代をめぐる二つの政党をイメージせずにはいられない団体が登場する。
小説の中で高らかに「政権交代」を訴えれば訴えるほど、現実に政権交代してからのニュースが頭をちらちらとよぎり、むなしさに襲われ、小説の中の高揚感と気持ちが寄り添えないのだ。
(これは原田さんのせいではないけれど、でも、できればもっと、現実とは違う設定だったら、と思ってしまった)
また、与党の存在自体や政策を、打倒すべき「悪」として描くのは、あまりにも単純化されすぎではないだろうか。郵政民営化とか後期高齢者医療制度とか、問題はあるかもしれないが、ベターな方法を探る中で決められたこと。現実の難しさを一切無視して、イメージだけで、「悪」として扱っている気がしてしまった。
雰囲気だけで片付けず、きちんと調べたうえで描いてほしかった。
よくできている話だなあ、よくできたスピーチだなあ、と終始、遠くから眺めるように、冷静に最後まで読みとおしてしまったことが本当に残念。平凡な主人公が、偉大なお師匠さんに才能を見いだされ、ライバルと力を尽くして戦うという、少年漫画のような王道ストーリーは楽しく読んだのだが。