十八代目中村勘三郎の芸 の感想

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参照データ

タイトル十八代目中村勘三郎の芸
発売日販売日未定
製作者山本吉之助
販売元アルファベータ
JANコード9784871986564
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

12月5日は、勘三郎の一周忌。
その追善のため、新刊書が4点出版された。この本もその一冊。
この本は批評のスタンスで書かれている。
還らぬ人となった今、勘三郎の歌舞伎批評の本が、追善になるのか…、などと思いながら読んでみた。

勘三郎の無念、この著者自身の無念が、ひしひしと伝わる。
読み進むにつれ、何よりも、この本が勘三郎を介して、歌舞伎そのものについて、課題を示していると気が付く。
〈あとがき〉まで辿りつくと、著者自身が記している。
《…、勘三郎が挑戦し、時には反発し逸脱しようとしたところの「歌舞伎の伝統」を論じているのである》と。
私たち歌舞伎を観るがわも、歌舞伎をどうしたいのか、それが問われていることに気づく。

古典と現代歌舞伎を追い求め、走り続けた天才歌舞伎役者、十八代目中村勘三郎。
この本では、勘三郎が得意とした32演目(古典:世話物9&時代物11。新歌舞伎2.舞踊5。実験歌舞伎5)を、たいへん丁寧に、具
体的に論じている。しかも読みやすい。
各演目を、その背景にある芝居の構成などを詳しく解説しつつ、声の張り、トーン、リズムなど具体的な演技論をも丁寧にかきこんでい
く。それだけでも十分読み応えがあるが…、
しかしそれは単なる役者論ではない。背景には、作品論、歌舞伎の型、伝統とは何かということの問いがある。
さて、勘三郎の血脈を辿ると、勘三郎の母方の祖父は、六代目尾上菊五郎。父方の曽祖父は三代目中村歌六で、その影響をうけた初代吉
右衛門は伯父。
大正時代の、菊吉時代にたどり着き、さらにこの二人を辿ると明治の劇聖・九代目團十郎へ。
当然、勘三郎を論じることは、明治以降の歌舞伎を論じることにも通じる。

ここで、著者の命題が浮かび上がる。
命題は〈アポロンとディオニソスは同じ肉体に宿るか〉
六代目尾上菊五郎は、理知的なアポロン的な芸風を持つ。
初代吉右衛門は、ディオニソス的な熱狂をよぶ、情熱的な役者。

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