線で読み解く日本の名画 の感想

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タイトル線で読み解く日本の名画
発売日販売日未定
製作者安村敏信
販売元幻戯書房
JANコード9784864880749
カテゴリアート・建築・デザイン » 芸術一般 » 美術史 » 東洋・日本美術史

購入者の感想

日本画がたどった線描に関する歩みをまとめた本。著者は2013年まで板橋区立美術館の館長を務めていた日本画の研究家。

正倉院に収納されている「黒絵仏像」。唐招提寺金堂梵天像台座の落書きの線の自由奔放さ。線が目立たないやまと絵における源氏物語絵巻「夕霧」における墨線。鳥獣人物戯画。将軍塚絵巻。14世紀に水墨画が中国からもたらされてからは、様々な試みによってそれが消化されてゆく。

明兆のひらひらと舞い踊る線。重力の法則から逸脱するかのような雪舟の描いた日本独自の線。粘り気のある雪村の線。狩野永徳の極太の線。濃淡を戦わせた長谷川等伯の線。海北友松の武人の魂の込められたような力強い線。俵屋宗達のたらしこみ技法と線を使わない没骨技法。一見軽快に見えながら力を持った狩野探幽の線。浮世を活写する菱川師宣の線。漢画の線を工芸的に活用した尾形光琳。人物の動きを絶妙に描く英一蝶の線。洋画の影響を受けた秋田蘭画の小田野直武。「付けたて」技法が生み出す輪郭線の円山応挙。ほとばしるようなダイナミックな線が視覚的感動を与える曽我蕭白の技術。緊張した空間も弛緩した空間も自在に操る伊藤若冲。にじみ出浮き出す線の長沢芦雪。柔らかく形を変容させる池大雅の線。ゆるやかな線で俳画を描いた与謝蕪村。湿り気を感じる作品を生み出す浦上玉堂の潤む線と乾いた線。女性の情感をにじませる喜多川歌麿の美人画を支えた柔らかな線描。線によって鮮やかに役者の個性を描き出す東洲斎写楽。線から逃亡を試み線に回帰した酒井法一。林十江の溶けてゆく線。力強い線を駆使した葛飾北斎。線と面を配合した歌川国芳。個性が現れる自在な線描を駆使した河鍋暁斎。朦朧体によって一度は線を否定し復活させにじませた横山大観。

このような人たちの作品を取り上げながら、線描を中心にその特徴をそれぞれ数ページずつ解説している。そして、歴史上の絵師たちの様々な試みをたどるとともに、結果として、日本画の線描の特徴や重要さについても理解を深めることができる。日本画の線描の伝統は、現代の漫画にも受け継がれていることも指摘されている。

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