ヨーロッパ覇権史 (ちくま新書) の感想
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参照データ
タイトル | ヨーロッパ覇権史 (ちくま新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 玉木 俊明 |
販売元 | 筑摩書房 |
JANコード | 9784480068521 |
カテゴリ | 歴史・地理 » 世界史 » ヨーロッパ史 » ヨーロッパ史一般 |
購入者の感想
本書の抽象的なタイトルだけでは、その趣旨を押さえるのはやや困難だろう。端的に言えばルネッサンス(14~5世紀)以降のヨーロッパ、殊にオランダ、フランス、スペイン、ポルトガル、そして真打ちイギリス(大英帝国)の経済史である。ただトピック(アプローチ)としては、ヨーロッパにおける軍事的及び経済的「ヘゲモニー」(覇権)の成立・本質・変遷、そして大航海時代と新大陸発見、新大陸、アフリカ、東南アジアを巡る経済的「ヘゲモニー」(覇権)の成立と変遷、イギリスが後発ながらもオランダ、スペイン、ポルトガル等に優位を勝ち得た諸要因、かかる「ヘゲモニー」の確立に観る「軍事革命」(第1章)及び「近代世界システム」(第2章)の歴史的意義と本質性など、ユニークな歴史分析手法が特徴である。イギリスがオランダ、スペイン、ポルトガルの対外政策(植民地政策)に勝り、19世紀以降の世界的経済において(少なくともWW1以前まで)「ヘゲモニー」国家たりえた要因、そして中央集権的金融・財政の確立(国家的信用の確保)、植民地と本国の関係における輸送(海運)の独自性、本国と植民地(第1次産品輸出国)との経済的・政治的「支配=従属関係」(植民地からの収奪と言って良い)、貿易への国家の介入と財政確保という特質を詳細か実証的に展開するものである。