ユーロ破綻 そしてドイツだけが残った (日経プレミアシリーズ) の感想
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参照データ
タイトル | ユーロ破綻 そしてドイツだけが残った (日経プレミアシリーズ) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 竹森 俊平 |
販売元 | 日本経済新聞出版社 |
JANコード | 9784532261788 |
カテゴリ | ビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 各国経済事情 » ヨーロッパ |
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購入者の感想
本書は現在進行中の欧州の危機について、経済学の学知を駆使して、その行方を占うものである。
たとえば著者は国際経済学では「不可能性の三角形」があると解説する。1.為替レートの安定、2.自由な国際資本移動、3.各国が独立した金融政策をとれること、の3点を同時に満たすことはできない、ということである。しかし、それとは別に、もう一つの「不可能性の三角形」も考えられるのではないかと唱える。すなわち、1.ユーロ圏はトランスファー(所得移転)同盟に転化させたくないリーダー国(ドイツ)の願望、2.共通通貨(ユーロ)を存続させたいという願望’。3.北に比べて競争力の弱い南の産業が崩壊する結果、南から北への大量移民が発生し、北に移民のスラムが形成させるといった事態を避けたい欧州全体の願望、の3点もまた、同時に満たすことはできないというのである。
とすればユーロはどのような運命をたどるのではあろうか。
著者は2つのシナリオが考えられるという。第1は欧州同盟(ヨーロピアン・ユニオン)が財政支援同盟(トランスファーユニオン)に転化するシナリオである。この場合はドイツがいつまでも南諸国を援助し続けなければならない。ドイツ国民は、当面はともかく、いつかは反対するであろう。第2はユーロ分裂のシナリオである。ギリシャ(をはじめとする)諸国がユーロを離脱するか、又は、ドイツ自身がオランダ、フィンランド、ルクセンブルクのような仲間を引き連れてユーロを離脱する。この場合はユーロは崩壊し、経済は大恐慌となる。
本書では、ギリシャ危機がなぜ発生したのか、また発生後ヨーロッパ中央銀行や各国がどのような政策を取ったのか、分かりやすく解説されているとともに、重要な経済学者の論文が紹介され、ユーロの行方について経済学的に高度な深い分析がなされている。しかし内容な決して難解ではなく、経済学の知識がなくても十分理解できる。むしろ著者は筆力が高い方のようで、知的スリリングさえ味わうことができる。
上記のように著者のユーロ危機についての見方は悲観的であるが、たいへん説得力に富んでいる。
たとえば著者は国際経済学では「不可能性の三角形」があると解説する。1.為替レートの安定、2.自由な国際資本移動、3.各国が独立した金融政策をとれること、の3点を同時に満たすことはできない、ということである。しかし、それとは別に、もう一つの「不可能性の三角形」も考えられるのではないかと唱える。すなわち、1.ユーロ圏はトランスファー(所得移転)同盟に転化させたくないリーダー国(ドイツ)の願望、2.共通通貨(ユーロ)を存続させたいという願望’。3.北に比べて競争力の弱い南の産業が崩壊する結果、南から北への大量移民が発生し、北に移民のスラムが形成させるといった事態を避けたい欧州全体の願望、の3点もまた、同時に満たすことはできないというのである。
とすればユーロはどのような運命をたどるのではあろうか。
著者は2つのシナリオが考えられるという。第1は欧州同盟(ヨーロピアン・ユニオン)が財政支援同盟(トランスファーユニオン)に転化するシナリオである。この場合はドイツがいつまでも南諸国を援助し続けなければならない。ドイツ国民は、当面はともかく、いつかは反対するであろう。第2はユーロ分裂のシナリオである。ギリシャ(をはじめとする)諸国がユーロを離脱するか、又は、ドイツ自身がオランダ、フィンランド、ルクセンブルクのような仲間を引き連れてユーロを離脱する。この場合はユーロは崩壊し、経済は大恐慌となる。
本書では、ギリシャ危機がなぜ発生したのか、また発生後ヨーロッパ中央銀行や各国がどのような政策を取ったのか、分かりやすく解説されているとともに、重要な経済学者の論文が紹介され、ユーロの行方について経済学的に高度な深い分析がなされている。しかし内容な決して難解ではなく、経済学の知識がなくても十分理解できる。むしろ著者は筆力が高い方のようで、知的スリリングさえ味わうことができる。
上記のように著者のユーロ危機についての見方は悲観的であるが、たいへん説得力に富んでいる。