好奇心の赴くままに ドーキンス自伝I: 私が科学者になるまで の感想

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参照データ

タイトル好奇心の赴くままに ドーキンス自伝I: 私が科学者になるまで
発売日販売日未定
製作者リチャード ドーキンス
販売元早川書房
JANコード9784152094575
カテゴリジャンル別 » ノンフィクション » 科学 » 科学史・科学者

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購入者の感想

 本書はリチャード・ドーキンスの自伝である。進化生物学における不朽の名作『利己的な遺伝子』の著者であるとともに、『神は妄想である』などの啓蒙活動でも知られるドーキンス。そんな彼はいったいどんな少年時代を過ごし、その人格はいかにして形成されたのか。本書は、2部構成のうちの第1部で、本人誕生以前の家族の暮らしぶりから、1976年の『利己的な遺伝子』の出版までをたどっている。
 裕福な家庭に生まれ、オックスフォード大学ベリオール・カレッジに入学、ニコ・ティンバーゲンのもとで学び、20代半ばで早くも最初の職を得て、処女作がいきなり世界的な大ヒットと、一般的にみれば、その半生はサクセス・ストーリーそのものである。もちろん、その一般的描像は間違いではないだろうが、しかし本書ではその描像に加えて、あまり知られていない彼の一面が描かれていく。たとえば、少年時代に同級生がいじめられているのをただ見過ごしてしまったこと(そしてそれを彼は強く悔いている)。あるいは、13歳頃に信仰心を強め、教会に行かないという理由で母を非難したこと、などである。ただ後者の点についても、過度に驚くことなかれ。17歳になった彼は、早くも立派に「戦闘的な反宗教主義者」へと成長しているのである。
 そしてやはり、本書最大の読みどころは、オックスフォードでの学究生活と、『利己的な遺伝子』の出版経緯だろう。マイク・カレンを中心とした、動物行動研究グループのメンバーとの交流には、心温まるものがある。また、『利己的な遺伝子』の内容に大きな影響を与えた人物として、ハミルトン、ウィリアムズ、トリヴァース、メイナード・スミスの4人の名前があらためて挙げられているのも、思わずニンマリしてしまうところだ。ただ、ひとりのファンとしては、とくにその4人との関係については、さらに紙幅を費やして語ってほしかった気もするが。
 ドーキンスのことを多少なりとも知っている人であれば、小さなエピソードも含めて、十分に楽しめる自伝だと思う。なお、続巻の第2部は2015年に刊行予定とのこと。そちらでは、『利己的な遺伝子』以後にさまざまなものと格闘していくドーキンスのさまが描かれるのだろうか。いまから楽しみでしかたない。

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