「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》 (講談社学術文庫) の感想

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タイトル「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》 (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
製作者橋本 毅彦
販売元講談社
JANコード9784062921879
カテゴリジャンル別 » ノンフィクション » 科学 » 科学史・科学者

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購入者の感想

 講談社学術文庫は科学史ものに関しては他を圧して素晴らしいラインナップを揃えているが、最近は技術史ものでも良い本が出て来る様になった。本書は、講談社選書メチエの『〈標準〉の哲学ーースタンダード・テクノロジーの300年』の増補改訂版。「標準化」をテーマに、近代西洋の技術改革を辿った好著である。

 スタンダード(標準、規格)を求めると云うことは、具体的には規格の策定、工作機械の精確化・精密化、作業・動作の効率化、経営革新等であるが、本書では銃や大砲、旋盤、ねじやパイプ、用紙、車、飛行機、コンテナ、キーボード等、今日では有り触れていて気にも留めない身の回りの品々や、設計図やマニュアル等の産業のソフト面に関わる常識を取り上げ、それらが如何にして今日在る様な姿にまで進歩したのかを、実に明快に詳述してくれている。それらは何れも製品の互換性、生産効率、修理のし易さ、品質、性能等の向上に於て著しい成果を挙げたものばかりであるが、小さな変化の積み重ねが「標準化」と云う大きなうねりを作り上げて行く様は、正に圧巻。問題意識がはっきりしていてコンパクトな作りの所為か、数有る類書の中でも一本筋が通っていて読み易い。

 また本書で描かれている様な変化は、職人達の世界から技術者達の世界への変遷でもあるが、「労働」と云うものが一種の生権力として「労働者」達を作り上げ、支配して行く過程でもある。この辺りは技術者畑の読者だけでなく人文系の読者にとっても、尽きせぬ話題を提供してくれることだろう。往々にして軍や戦争が新たなイノベーションの推進力となったと云う指摘も更なる考察に値する。とにかくお薦めの一冊である。この分野の類書が今後も出て来ることを期待したい。

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