レクサスとオリーブの木―グローバリゼーションの正体〈上〉 の感想
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参照データ
タイトル | レクサスとオリーブの木―グローバリゼーションの正体〈上〉 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | トーマス フリードマン |
販売元 | 草思社 |
JANコード | 9784794209467 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 国際政治情勢 |
購入者の感想
もうこの本から8年か。時間の流れる早さを感じる。
アメリカ発のグローバリゼーションに対する、無邪気で一面的な賛歌であるこの本は、8年ほど前にベストセラーになった。そこではオリーブの木に代表される地域主義に対する、レクサスに代表されるグローバリゼーションの勝利が、様々な社会レベルから高らかに謳われる。例えば有名な”マクドナルドの黄金のアーチ理論”もそうだ。
その理論によれば、マクドナルドのある国同士は、グローバリゼーションの波に乗って、経済が発達、成熟した中産階級と民主主義が根付いているから、もうお互いに戦争をすることはないというもの。この本が書かれた時点では現実であったが、その後のコソボ紛争、グルジア紛争で見事に裏切られた。
また本書が予言した、グローバリゼーションありきでの世界平和とさらなる経済成長も、現実にはまったく逆の方向に進んでいるように思える。911事件以降、世界に溢れる暴力の嵐、際限なく暴走し、貧しい人の生活をさらにどん底に陥れ、遂に昨今破綻した巨大な無国籍マネー、深刻化する環境汚染や人権侵害、あまりにも悲惨な世界の現状ばかりが目につく。グローバリゼーションですべてが解決すると、無邪気に信じていたあの頃は一体何だったのだろうか?
現在ではもう読む価値のないと思われる本書だが、唯一面白い読み方ができる。それはこの本が書かれた当事、クリントン政権のもとアメリカが順調に経済成長をし、世界中がハッピーになると誰もが信じていた、ある種のユーフォリア(極端な楽観主義)を追体験する、という読み方だ。本書が謳うグローバリゼーションは心地よい。現実を忘れれば、束の間、あの当事の幸せな気分に戻れるであろう。
そして本を読み終えた時、8年で世界がこうも変わってしまったように、8年後世界がどうなっているかなど誰も想像ができない、そんな不確実性の時代に我々がいることをはっきりと感じるだろう。この本は時代の徒花だが、では何が実るのかなどは、誰も分からない、少なくともその事は教えてくれるのだ。
アメリカ発のグローバリゼーションに対する、無邪気で一面的な賛歌であるこの本は、8年ほど前にベストセラーになった。そこではオリーブの木に代表される地域主義に対する、レクサスに代表されるグローバリゼーションの勝利が、様々な社会レベルから高らかに謳われる。例えば有名な”マクドナルドの黄金のアーチ理論”もそうだ。
その理論によれば、マクドナルドのある国同士は、グローバリゼーションの波に乗って、経済が発達、成熟した中産階級と民主主義が根付いているから、もうお互いに戦争をすることはないというもの。この本が書かれた時点では現実であったが、その後のコソボ紛争、グルジア紛争で見事に裏切られた。
また本書が予言した、グローバリゼーションありきでの世界平和とさらなる経済成長も、現実にはまったく逆の方向に進んでいるように思える。911事件以降、世界に溢れる暴力の嵐、際限なく暴走し、貧しい人の生活をさらにどん底に陥れ、遂に昨今破綻した巨大な無国籍マネー、深刻化する環境汚染や人権侵害、あまりにも悲惨な世界の現状ばかりが目につく。グローバリゼーションですべてが解決すると、無邪気に信じていたあの頃は一体何だったのだろうか?
現在ではもう読む価値のないと思われる本書だが、唯一面白い読み方ができる。それはこの本が書かれた当事、クリントン政権のもとアメリカが順調に経済成長をし、世界中がハッピーになると誰もが信じていた、ある種のユーフォリア(極端な楽観主義)を追体験する、という読み方だ。本書が謳うグローバリゼーションは心地よい。現実を忘れれば、束の間、あの当事の幸せな気分に戻れるであろう。
そして本を読み終えた時、8年で世界がこうも変わってしまったように、8年後世界がどうなっているかなど誰も想像ができない、そんな不確実性の時代に我々がいることをはっきりと感じるだろう。この本は時代の徒花だが、では何が実るのかなどは、誰も分からない、少なくともその事は教えてくれるのだ。