オレがマリオ の感想
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参照データ
タイトル | オレがマリオ |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 俵 万智 |
販売元 | 文藝春秋 |
JANコード | 9784163828107 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 詩歌 » 歌集 |
購入者の感想
私にとっては写真家・奥宮誠次のとのコラボレーションで編まれた『風が笑えば』(2012年)以来の俵歌集です。
3・11震災の当日東京にいた作者は仙台で暮らす息子と両親のもとへなんとかたどり着き、その後、幼子の手をひきながら西へ西へと居を移します。そして今は縁あって石垣島に暮らす母と子となった作者。
エイプリルフールにふっと島に来てそのまま住みつくそんな人生
自らの人生の予想だにしなかった変転が、どこか浮世離れした冗談のように感じられる。そんな不可思議さに微苦笑が漏れる作者の面差しがこの文字の間に立ちあがって見えます。
大きく変貌した暮らしの中で出会う人や味わう大自然、そして息子の逞しい成長を、作者は精力的に三十一(みそひと)文字に落とし込んでいきます。
「オレが今マリオなんだよ」島に来て子はゲーム機に触れなくなりぬ
そして俵万智といえば、心引き絞られる恋情の歌が欠かせません。
ここでも吾子と遊ぶ「君」の存在や、「マエストロ」との間にかつて厳然とあった心の通い合いなど、わずかな数の文字が紡ぎだす情景豊かな物語がそこには確かに現れるのです。
この人の何を私は知っていて何を私は知らないでいて
母の顔と女の顔。その二つの間を詩情豊かに行き交う作者の言葉に、今回も強く心打たれました。
3・11震災の当日東京にいた作者は仙台で暮らす息子と両親のもとへなんとかたどり着き、その後、幼子の手をひきながら西へ西へと居を移します。そして今は縁あって石垣島に暮らす母と子となった作者。
エイプリルフールにふっと島に来てそのまま住みつくそんな人生
自らの人生の予想だにしなかった変転が、どこか浮世離れした冗談のように感じられる。そんな不可思議さに微苦笑が漏れる作者の面差しがこの文字の間に立ちあがって見えます。
大きく変貌した暮らしの中で出会う人や味わう大自然、そして息子の逞しい成長を、作者は精力的に三十一(みそひと)文字に落とし込んでいきます。
「オレが今マリオなんだよ」島に来て子はゲーム機に触れなくなりぬ
そして俵万智といえば、心引き絞られる恋情の歌が欠かせません。
ここでも吾子と遊ぶ「君」の存在や、「マエストロ」との間にかつて厳然とあった心の通い合いなど、わずかな数の文字が紡ぎだす情景豊かな物語がそこには確かに現れるのです。
この人の何を私は知っていて何を私は知らないでいて
母の顔と女の顔。その二つの間を詩情豊かに行き交う作者の言葉に、今回も強く心打たれました。
リズムがよく言葉も平易なので、情景や作者の気持ちが、1回読んだだけで心にすうっと浸み入ります。
東日本大震災後の仙台から石垣島への移住。小学生の息子は早くもその土地に順応していくのに比べ、
おとなの自分は戸惑いや違和感を隠しきれない。それでも徐々に現実を受け止め、溶け込んで行く。
つらい状況の中でも「母」としてしっかり立っている様子が、いろんな角度から伝わります。
後半は恋の歌が多い。こちらは「女」。色気があってとてもどきどきする。
東日本大震災後の仙台から石垣島への移住。小学生の息子は早くもその土地に順応していくのに比べ、
おとなの自分は戸惑いや違和感を隠しきれない。それでも徐々に現実を受け止め、溶け込んで行く。
つらい状況の中でも「母」としてしっかり立っている様子が、いろんな角度から伝わります。
後半は恋の歌が多い。こちらは「女」。色気があってとてもどきどきする。