史論の復権（新潮新書） の感想

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　「中国化する日本」については著者の単著がありますが、今回は他分野で活躍する研究者との対談集です。大変読みやすく、内容も多方面に展開され、全編啓発される所論となっています。「中国化」について著者は宋の時代を例示し、中央集権的な皇帝独裁政治体制の下、政治的には「不自由」でありながら、経済的には庶民にまで活発な経済活動が展開される「自由な」体制とみなし、これを現在の社会主義市場経済の中国までを貫く一本の線とみなし、日本の現在の政治・経済体制が、政治的には古めかしい憲法国家体制（不自由）をそのままに、経済のみ「自由化」を進める点において「中国化」していると問題提起しているのです。この状態が続くと日本の政治は危機的状況に陥ると警告しています。