これまでのあらすじ
『スピンオフ作品』
クサツに部屋を案内された後、二人は早速温泉に向かった。時間帯的に別の場所に遊びに行っているからか、他の客の姿はなく貸し切りだった。
「ジェラネェ、はいこれ。」
モノンはジェラにお猪口を手渡した。反対の手には徳利が握られている。
「…一応仕事中ですし、大体貴方下戸でしょう?」
「そうゆうと思って中身はホットミルクだよーん。」
それなら、とジェラはモノンに注いでもらい一杯口にした。ミルクの甘さが口いっぱいに広がる。ゆっくりと至福の時間が流れるのを感じた。
そういえば、とモノンが口を開く。
「なんか雰囲気似てたね、あの子。」
「…?ああ、アタミさんのことかしら?…確かにそうですわね。」
「…うまくやってるかなぁ。」
「…さぁ、正直あの子は未知数な所が多いですから。」
「あの子」とはジェラとモノンのもう1人の「妹分」…名無しのことだった。
「名無し」は別に本当に名前が存在しない訳ではない。今日に至るまで名前を名乗ってこなかったから「名無し」と定義しているのだ。それほどまでに名無しは寡黙で無愛想だった。
こちらから話しかけない限り話すことがなく、会話したとしても単語で淡々と答えるだけ…夫の元に集う幹部達の中でもかなり悪目立ちしていた記憶がある。
だが決して性格が歪んでいるということではなかった。無くしたジグソーパズルのピースをどこからともなく探しだしたり、お菓子作りが得意で暇なときはよく作って皆で食べたりもした。
しかし、今の二人の隣に「名無し」はいない…それには死別よりも辛い理由があった。
ついこないだまで、ジェラ達は十二騎士団と敵対関係にあった。しかしとある孤島にて対峙し敗北。「自己の生存」を最優先にするモノンは自分の身を守るために、ジェラはそんな彼女に説得されて、夫を裏切り騎士団側につくことになった。
だが名無しは…そんな中で「自爆」という選択をとった。しかし、それだけでは終わらない。
突然現れた幹部の1人によって名無しが復活。そのまま夫の元に残留する形となったのだ。
「人間」と共に歩む道を選んだジェラとモノン。
「化け物」として脅威であり続けることを選んだ名無し。
…もう、交わることはないのだろうか?
「…もしかしたら、案外ばったり会うかもしれませんね。あの子は湯煙のような子ですから…」
「…」
話し込んでるうちに徳利は空になり、辺りが暗くなっている。そろそろ予告していた夕食時だろう。
二人は温泉をあとにした。
「ジェラネェ、はいこれ。」
モノンはジェラにお猪口を手渡した。反対の手には徳利が握られている。
「…一応仕事中ですし、大体貴方下戸でしょう?」
「そうゆうと思って中身はホットミルクだよーん。」
それなら、とジェラはモノンに注いでもらい一杯口にした。ミルクの甘さが口いっぱいに広がる。ゆっくりと至福の時間が流れるのを感じた。
そういえば、とモノンが口を開く。
「なんか雰囲気似てたね、あの子。」
「…?ああ、アタミさんのことかしら?…確かにそうですわね。」
「…うまくやってるかなぁ。」
「…さぁ、正直あの子は未知数な所が多いですから。」
「あの子」とはジェラとモノンのもう1人の「妹分」…名無しのことだった。
「名無し」は別に本当に名前が存在しない訳ではない。今日に至るまで名前を名乗ってこなかったから「名無し」と定義しているのだ。それほどまでに名無しは寡黙で無愛想だった。
こちらから話しかけない限り話すことがなく、会話したとしても単語で淡々と答えるだけ…夫の元に集う幹部達の中でもかなり悪目立ちしていた記憶がある。
だが決して性格が歪んでいるということではなかった。無くしたジグソーパズルのピースをどこからともなく探しだしたり、お菓子作りが得意で暇なときはよく作って皆で食べたりもした。
しかし、今の二人の隣に「名無し」はいない…それには死別よりも辛い理由があった。
ついこないだまで、ジェラ達は十二騎士団と敵対関係にあった。しかしとある孤島にて対峙し敗北。「自己の生存」を最優先にするモノンは自分の身を守るために、ジェラはそんな彼女に説得されて、夫を裏切り騎士団側につくことになった。
だが名無しは…そんな中で「自爆」という選択をとった。しかし、それだけでは終わらない。
突然現れた幹部の1人によって名無しが復活。そのまま夫の元に残留する形となったのだ。
「人間」と共に歩む道を選んだジェラとモノン。
「化け物」として脅威であり続けることを選んだ名無し。
…もう、交わることはないのだろうか?
「…もしかしたら、案外ばったり会うかもしれませんね。あの子は湯煙のような子ですから…」
「…」
話し込んでるうちに徳利は空になり、辺りが暗くなっている。そろそろ予告していた夕食時だろう。
二人は温泉をあとにした。
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筆者:ハゴ 読者:259 評価:0 分岐:1