これまでのあらすじ
『サラリーマン、異世界で勇者になる。』
太郎が出発して3時間ほどが経過した頃、冷静さを取り戻した王は1人玉座に腰掛けながら頭を抱え、大きなため息をついていた。
「まさか、こんな事になるとは……。我々はこれで終わりなのか…?」
王がここまで深く思い詰めているのには理由がある。
実は太郎を召喚する儀式には、あるアイテムを使用していた。
神器と呼ばれるそのアイテムは、王家が古から代々引き継いできた世界でも一つしか存在が確認されていない大変貴重なものだった。
さらに、その神器を使う事でしか召喚の儀式は行えない上に、神器は一度使用したら消えてしまうという。
つまり魔王を倒す事が出来るかは、この一度きりの召喚の結果次第だった。
王は神器を過信していた。
このアイテムを使えば、世界は救われるのだと。
だからてっきり魔法と特殊能力の両方が、この世界の者よりも遥かに優れた勇者が来ると思っていた。
だが、現実は違った。
実際に来たのは特殊能力どころか、魔法すら使えないただの人間。
この世界の人間は老若男女を問わず、誰でも魔法を使うことが出来る。それこそ、赤ん坊ですらも。その証拠に、まだ生後間もない赤ん坊が魔法を発動した、という記録が年に2、3件は報告されている。
つまり、この世界で魔法が使えないということは、赤ん坊よりも劣る、ということなのだ。
貴重な神器を使用したにも関わらず、現れたのは赤ん坊以下の力しか持たないただの男。
王の感じた絶望は、筆舌に尽くし難いものであった。
だが王は諦めてはいなかった。
アイテムが数多くある異世界から選び出したあの男の可能性を。
何故、魔法や特殊能力を持たない者を神器は選んだのか。一体、彼の何が特別だというのか。
『あの男が世界を救う』
そのとても、とても小さな可能性に、王は賭けてみることにした。
「頼む、君だけが……世界の、全人類の希望の光だ」
「まさか、こんな事になるとは……。我々はこれで終わりなのか…?」
王がここまで深く思い詰めているのには理由がある。
実は太郎を召喚する儀式には、あるアイテムを使用していた。
神器と呼ばれるそのアイテムは、王家が古から代々引き継いできた世界でも一つしか存在が確認されていない大変貴重なものだった。
さらに、その神器を使う事でしか召喚の儀式は行えない上に、神器は一度使用したら消えてしまうという。
つまり魔王を倒す事が出来るかは、この一度きりの召喚の結果次第だった。
王は神器を過信していた。
このアイテムを使えば、世界は救われるのだと。
だからてっきり魔法と特殊能力の両方が、この世界の者よりも遥かに優れた勇者が来ると思っていた。
だが、現実は違った。
実際に来たのは特殊能力どころか、魔法すら使えないただの人間。
この世界の人間は老若男女を問わず、誰でも魔法を使うことが出来る。それこそ、赤ん坊ですらも。その証拠に、まだ生後間もない赤ん坊が魔法を発動した、という記録が年に2、3件は報告されている。
つまり、この世界で魔法が使えないということは、赤ん坊よりも劣る、ということなのだ。
貴重な神器を使用したにも関わらず、現れたのは赤ん坊以下の力しか持たないただの男。
王の感じた絶望は、筆舌に尽くし難いものであった。
だが王は諦めてはいなかった。
アイテムが数多くある異世界から選び出したあの男の可能性を。
何故、魔法や特殊能力を持たない者を神器は選んだのか。一体、彼の何が特別だというのか。
『あの男が世界を救う』
そのとても、とても小さな可能性に、王は賭けてみることにした。
「頼む、君だけが……世界の、全人類の希望の光だ」
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筆者:スピットファイア 読者:212 評価:1 分岐:1