ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ (講談社現代新書) の感想
参照データ
タイトル | ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ (講談社現代新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | イリーナ・メジューエワ |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784062884464 |
カテゴリ | エンターテイメント » 音楽 » 音楽理論・音楽論 » クラシック音楽 |
購入者の感想
日本在住のロシア人ピアニストメジューエワによる演奏家のための手引書である。このような演奏家のための本が新書版で出版されるのは大変珍しい。著者はベートーベンのソナタを四声構造として捉え、そこに精神性を読み込み、体力の限り弾き込むことを説く。耳が聴こえないベートーベンにとって、ピアノは想像上の楽器である。したがって演奏家にとって弾きづらい箇所が随所に登場するが、負けないことを説く。演奏家にもベートーベンと同じ精神力が求められるのだ。シューベルトの最後のソナタの第一楽章については、繰り返しを省略せず、そこに込められたシューベルトのメッセージを読み解く。説明が楽譜を根拠にしているので分かりやすい。ピアノを弾かない人は楽譜を入手し、CDを聴いて確認することが望ましい。著者が推薦するピアニストとして、アファナシエフ、リヒテル、マリヤ・ユージナなどすべてロシア人ピアニストの名前があがっているが、ホロヴィッツやルービンシュタインは載っていない。シューベルトの最後のソナタ第一楽章の繰り返しを省略しているからであろう。これも面白い。楽譜が読めない人も、ピアノが弾けない人も本書の理解はある程度は可能である。たまにはピアニストの立場になってこのような本を読むのもいいかもしれない。お勧めの一冊だ。